2012 Fiscal Year Research-status Report
竹を原料とする住環境にやさしい竹質ボード製造技術の開発
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24650476
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
西岡 守 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30270341)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 内装材料 |
Research Abstract |
竹粉末を結合する接着剤として、想定された珪酸ナトリウム、各種ガラス、その他シリカ系の物質から、高温・高圧水(120℃~220℃、2MPa)の状態下での反応性の高い珪酸ナトリウム粉末を選択した。また、珪酸ナトリウム粒子の溶解を促進する目的でアルカリの水溶液を添加することとした。 地元阿南市産の孟宗竹粉あるいは竹炭、水酸化ナトリウム水溶液、珪酸ナトリウム粉末をそれぞれ所定の配合比で混合し、所定の温度(120℃~220℃)、圧力2MPaで加熱・圧縮成型し成形ボードを作製した。作製されたボードの評価試験として、JISに則った曲げ強度、吸水厚さ膨張率、密度などの機械的、物理的性質を調べた。また、高温・高圧蒸気中で表面反応の活性化促進が予想される珪酸ナトリウム粒子の接着剤としての効果を顕微鏡で観察し、本研究で同時に購入した顕微鏡加熱装置により、直接固化反応中の無機粒子の挙動を観察した。 結果として、以下のことが明らかになった。1.接着剤を使用した場合、成型温度にしたがって比重が大きくなり、接着剤の配合比により最大曲げ強さを示す温度が変化した。2.竹粉末・竹炭粉末を原料として用いた時、曲げ強さが最大の値を示すのは、成型温度が200℃から220℃のときであった。3.竹炭粉末のみを用いた時、曲げ強さが最大の値を示すのは、成型温度が180℃であった。4.竹粉末を用いたボードは成型温度が180℃以上になると、炭化が進行したため黒く変色した。5.ケイ酸ナトリウムが竹粉末表面への溶解し粉末間を結合していることが明らかになった。6.竹炭のみの180℃成型ボードでは、曲げ強さが約3MPaとなり、市販の建築材料として活用できる値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究の実施計画で挙げた4項目について、以下のように達成できた。 ○接着剤となる無機物質を選択; 珪酸ナトリウム粉末を接着剤と決定し、製作した成型ボードの断面を購入した顕微鏡加熱装置により、直接固化反応中の無機粒子の挙動を観察した。また、これらの顕微鏡観察と作製した成型体の強度試験(曲げ強さなどJISに規格された方法)の結果から、無機物質の接着効果を探索できた。 ○竹炭及び竹粉末の固化(ボード化); 阿南市産の孟宗竹、竹炭を原料として加熱・圧縮成型法が可能な小型プレス装置を用いて、竹粉末と珪酸ナトリウム(接着剤)の固化を実施した。 ○作製されたボードの評価試験; JISに則って、ボードの曲げ強度、吸水性、密度などの機械的、物理的性質を調べ無機物質の固化という観点から、各固化条件とボードの性質との関係を検討した。 ○ボードの比較検討; 評価試験の結果を参考に、市販の木質ボードと比較検討する。同時に竹炭の含有する効果について比較試験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果を考慮に入れ、平成25年度は大型ボードの製造を試みる。加熱・圧縮による大型ボード作製装置を用い、30cm×30cm程度のボードを作製し、実用化に向けた検討を行う。所定の大きさに調整した原料200gに無機物質接着剤を溶解した溶液として10~90重量%加えて十分混合する。これを出発原料としてプレス(加熱・圧縮)する。固化温度は、24年度の結果を参考にしながら、100℃以上240℃程度を念頭におき、24年度に行われなかった固化条件の探索を行う。すなわち、プレス圧、固化時間、密閉系における固化などの条件を検討する。プレス圧は10気圧から100気圧の範囲、固化時間は実用化を想定した数分間、密閉系は密閉容器内での固化反応を行う。なお、ボードの厚さは、従来より利用されている木質ボード、あるいは建築材として実用的であることを考えて5mm~15mm程度を選択する。 作製されたボードの評価試験は、作製直後、乾燥後の密度を算出し、乾燥による重量変化を検討し、JISで規定された各種評価試験(曲げ強度、剥離試験、難燃性試験、吸水膨張率、難燃性、発火性など)、購入した顕微鏡によりボードの固化後の構造観察などを行い、既存の木質ボードと比較し建築材としての可能性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請の通りの使用計画である。 物品費を消耗品として50万円、謝金を実験補助として10万円、合計60万円である。 消耗品は、竹粉末、竹炭の原料費、試薬、成型容器などの購入予定、謝金は2ヶ月程度の実験補助を予定している。
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