2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650478
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中口 義次 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (70378967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西渕 光昭 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (50189304)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 塩蔵食品 / イカ塩辛 / 食中毒 / 低塩分 / 腸炎ビブリオ / 細菌汚染 |
Research Abstract |
わが国の食中毒統計によると、毎年1,000件以上の食中毒事例が発生し、3万人以上の患者が報告されている。2007年9月、東北地方の水産食品加工業者が製造した塩蔵食品(イカ塩辛)による大規模食中毒事例が発生した。元来この食品では大量の塩により食中毒菌や腐敗菌の増殖が抑えられていたが、近年の健康志向の影響から低塩分化が進み、その働きが失われていると考えられた。本研究では、低塩分の塩蔵食品の特性と食中毒菌による汚染の実態とその挙動を解明して、食中毒リスクを明らかにすることにした。 市販イカ塩辛を調べたところ、1品を除いて全てが低塩分の製品で塩分濃度は5%前後(3.9-6.0%)であった。残りの1品は18.0%の高塩分の製品であった。それら製造情報のラベルには、低塩分の製品については「要冷蔵」が記載されており、高塩分のものでは「直射日光を避けて保存」と明記されており、保管方法の明確な違いが示されていた。 次にそれらの細菌汚染(食中毒菌および一般細菌)を調べたところ、大規模食中毒の原因菌であった腸炎ビブリオによる汚染はどの製品でも確認できなかった。また一般細菌数の増殖については、25℃条件下で低塩分の製品で約1,000倍(48時間後)に増加し、高塩分のものでは時間が経過しても一定に維持されていた。さらにそれら食品に腸炎ビブリオを汚染させた後、食中毒菌の消長を確認したところ、どの製品においてもすぐに死滅した。また自家製のイカ塩辛(塩分濃度4.5%)では一般細菌数は48時間で1,000倍以上に増加し、接種した腸炎ビブリオは48時間後で死滅(24時間後では生残)していた。 市販イカ塩辛では、腸炎ビブリオで汚染していたとしても原材料に含まれる添加物の影響でその増殖は抑えられると考えられるが、自家製品の場合はそれらを加えていないため、腸炎ビブリオ食中毒のリスクが高いことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)