2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650480
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小西 洋太郎 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (70116812)
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Keywords | 1,5-アンヒドログルシトール / 甘味料 / 糖 / 機能性 |
Research Abstract |
本研究は生薬オンジ(イトヒメハギ科植物の根)から1,5-アンヒドログルシトール(AG)を大量に精製(ここでは数十グラムの意)し、これまでほとんど研究例がなかったAGの食品科学分野における機能性と利用法について検討し、下述のような知見を得た。 (1)簡便で、高収率・高純度のAG精製法を確立した。すなわち、オンジ脱脂粉末の4%TCA抽出液を活性炭で処理後、加熱濃縮し、陽・陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの非吸着画分からAGを得た(収率3.1%、純度95.4%)。(2)官能試験によるAGの甘味度は58であった(スクロースを100とする)。また、AGは甘味の引きが速く後味として苦味が残ること、また紅茶の苦味・渋味を抑制する効果がみられた。(3)ラットに経口投与したAG(~1500 mg/kg 体重)の約55%は投与9時間以内に尿中に排泄され、AGは代謝されにくいことが示唆された。各組織に取り込まれたAGは3日後にはほぼ投与前のレベルに戻った。AGとグルコースを同時投与すると、有意な血糖値上昇抑制効果が示された。その機構については、消化管におけるAGによるグルコースの吸収阻害ことが示唆された。(4)AGから機能性糖1,5-アンヒドロフルクトース(AF)へ転換を検討し、変換率88%の最適条件(pH4、18時間)をみつけた。AFは抗酸化活性,抗菌活性,抗肥満活性,抗腫瘍活性など様々な機能性を有することが知られている。本研究期間内で、グラム単位の高純度AFの調製に至らなかったため、企業から恵与されたAFを用いて褐変抑制活性を調べた。その結果、AFはジャガイモの抽出液(非加熱、加熱)pH4.5~7.5 において褐変反応を抑制した。 以上の知見は、AG自身の機能性のみならず、AGが機能性糖AFの製造原料にもなり得ることを提示しており、今後新しい食品素材としての開発が期待される。
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