2012 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイムモニタリングによる蛋白質摂取の肝糖代謝への効果の検討
Project/Area Number |
24650487
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 啓 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 教授 (50397832)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 栄養学 / 糖尿病 / 肝糖代謝 / タンパク質 |
Research Abstract |
食事中の蛋白質が個体糖代謝に及ぼす作用は、炭水化物・脂質に比べ、十分に解明されていない。蛋白質摂取後の肝糖産生への作用の二面性が、蛋白質摂取に伴う糖代謝作用の解析を困難としている。本研究課題では、本課題のために作成した肝糖産生モニタリングマウスを用いて、蛋白質摂取の量・質・期間が個体糖代謝・肝糖産生に及ぼす作用を解明することを目的とする。 研究代表者は、肝糖新生酵素遺伝子G6pcプロモーター下に、高感度バイオマーカーとして、血中に分泌されるルシフェラーゼを発現するマウスを、肝糖産生モニタリングマウスとして、作成した。当該マウスにおいて、肝糖産生を約20倍の感度で検出しうる肝糖産生モニタリングマウスを作成した。肝糖産生モニタリングマウスでは、肝糖産生評価を血液サンプルで行うことから、同一個体で長期間にわたる経時的な肝糖産生評価を可能とする。本年度には、肝糖産生モニタリングマウスに対し、肝糖産生が変化する食事摂取またはインスリン注入条件において、分泌型ルシフェラーゼの血中活性と従来法での肝糖産生評価との整合性を確認し、特許出願を行った。 肝糖産生モニタリングマウスに対し、随時摂餌状態から、24時間の絶食を行い、その後に再度、餌を与えた後24時間までの血中ルシフェラーゼ活性を測定した。G6pc遺伝子発現の経時的変化と同様に、絶食後24時間まで増加し、再摂餌後24時間まで血中ルシフェラーゼ活性は減弱した。1.25mU/kg/minの高インスリン正常血糖クランプ法では、肝糖産生が抑制され、インスリン投与後120分でG6pc量は約30%程度にまで減少することを確認している。肝糖産生モニタリングマウスに高インスリン正常血糖クランプ法による検討を行い、血中ルシフェラーゼ活性を測定したところ、インスリン投与後180分において、約60%程度まで血中ルシフェラーゼ活性が減弱した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画において、肝糖産生モニターマウスの有用性の確認を行い特許出願を行うなど、おおむね予定通りに順調に進展している。また、次年度に向けて、餌中タンパク質量を変化させた餌の投与による肝糖産生の作用にも着手しており、次年度に引き続きその解析を行うことを予定であり、当初の計画に沿って極めて順調な研究進展状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に着手しているタンパク質量を変化させた餌の投与による、通常または高脂肪食下での肝糖産生への効果を肝糖産生モニターマウスで検討する実験は、今年度にすでに着手しており、今後解析を進めてゆく。また、肝糖産生モニターマウスでの結果から考察し、タンパク質摂取状況において、肝糖産生が変化した状況において、肝臓メタボローム解析により肝細胞内エネルギー代謝状態を評価する。 肝糖産生モニターマウスの有用性を確認したことから、当該マウスを遺伝子改変技術ではなく、汎用性に富むin vivo transfection技術を用いて作出し、その有用性を確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画は、マウス個体における代謝解析を中心としている。血中代謝関連プロファイルなどを測定と、肝糖産生モニタリングに用いる分泌型ルシフェラーゼ解析試薬、さらには蛋白・核酸精製、ウェスタンブロット試薬、遺伝子発現解析に用いる定量的PCR 試薬、また、解析に用いるマウスの飼育経費に加え、系統維持に使用する野生型マウスの購入に、一般消耗品経費として使用する。 また、代表者の国内の学会参加費として、研究費を使用する。国内では、日本栄養食糧学会への参加・発表を予定している。 また、遺伝子改変マウスを用いた代謝解析であることから、遺伝子型確認や体重測定といったルーティンワークがあり、解析実験補助のために、研究費を使用する予定である。また、平成25年度には、実験成果に関して、論文投稿を予定しており、投稿費用を計上する。
|