2013 Fiscal Year Research-status Report
うま味成分による味覚受容体発現の調節―味覚異常患者用治療食への応用―
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24650489
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堤 理恵 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80510172)
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Keywords | 味覚異常 / がん |
Research Abstract |
本研究では、頭頸部癌患者を対象に、治療による味覚受容体の変化があることを明らかにし、これを調節する食品成分を見出し、味覚異常に効果的な治療食を開発することを目的とする。 本年度の研究により、味覚受容体の変動は口腔粘膜障害のレベルによって異なること、化学療法特異的に変化することが明らかとなった。味覚受容体のうち、うま味、甘味受容体を構成するT1R3は軽度・重度の粘膜障害下で減少するが、他のT1R1,T1R2は軽度の粘膜障害下では不変であった。一方で、苦味受容体は軽度の粘膜障害下では化学療法によって増加する。こうした変化は一過性であり、放射線療法単独では認められなかった。また、健常人と比較すると、頭頸部癌患者ではすべての受容体レベルが低下し、それと一致して味覚閾値も上昇していた。受容体発現量は全口腔法による味覚検査の値とも一致した。 また、苦味受容体が増加する原因についても探索した。苦味受容体が増加するのに、苦味閾値は上昇したが、受容体発現が増加した患者では、何も食べなくても口の中が苦い、という悪味症を訴えていることがわかり、こうした受容体増加は悪味と関係していることが考えられた。 これらについては現在論文投稿準備中である。次年度はこうした受容体を制御する食品検索へのデータをまとめ、治療食開発に結びつけていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
基礎的なデータについて十分なデータを得られ、期待以上に興味深い結果が得られた。現在論文投稿の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はこうした受容体を制御する食品検索へのデータをまとめ、治療食開発に結びつけていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理由;研究の進捗状況から、当初平成25年度中に購入する予定であった消耗品について平成26年度購入することとなったため、次年度使用額が発生した。 使用計画;予定していた物品について4月に購入・納品済みである。
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Research Products
(3 results)