2012 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化食品成分を摂取した母体内の胎児が酸化耐性能を獲得できる可能性
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24650492
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20403701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下位 香代子 静岡県立大学, 付置研究所, 教授 (10162728)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 抗酸化成分 / 母子間移行 / アントシアニン |
Research Abstract |
胎児や乳児は外界からの刺激に対して脆弱であることが広く知られている。故に、胎児期や乳児期に機能性成分に接すると、胎児・乳児の体内では様々な変化が生じる可能性がある。本研究では、妊娠あるいは授乳中の母体が摂取した食品由来の抗酸化成分は母子間移行するのか、また移行するならば、生まれてくる子どもは酸化耐性能を獲得することができるのかを探究することを最終目的として研究を推進しており、平成24年度は以下の結果を得た。 1. ラットの繁殖技術を導入するとともに、実体顕微鏡下で妊娠母体からの胎子摘出および母乳の採取法を習得した。 2. 摂取後、体内に吸収され、そして様々な機能性を発揮することが知られている成分を胎盤通過の可能性(分子量が600以下、血漿中タンパク質との結合率が低い等)を考慮 に入れて選定し、その候補リストを作成した。最初の試験化合物としてアントシアニンを選択し、アントシアニンが豊富に含まれていることが知られているビルベリー5品種のアントシアニン含量を比較定量し、最も高濃度に含む品種を見出した。 3. ビルベリーアントシアニンを母ラットに経口投与した後、継時的に血液を採取し、摂取したアントシアニンが母体内へ吸収されることを確認した。 4. ビルベリーアントシアニンを授乳期の母ラットに経口投与した後、母乳を採取し、アントシアニンの母乳移行性をHPLCを用いて評価した結果、微量ではあるが移行する可能性を示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要なテーマの一つである「機能性食品成分は母子間移行するのか?」を探究するための試験は、ラットを用いておおむね順調に進展している。ただし、母体への投与成分の母子間移行量が予想よりも低濃度であったため、その測定方法の確立に時間を要した。その結果、もう一つの主要なテーマである「生まれてくる子どもは酸化耐性能を有するのか?」についての試験は進行中ではあるが、明確な知見は現時点で得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 平成24度の研究で得た知見を基盤として、アントシアニンの母子間移行性についての確証を得るとともに、内因性抗酸化システムに及ぼす影響を追跡する。さらに、妊娠中あるいは授乳中の母体がアントシアニンを摂取した時の胎仔・乳仔の成長過程における生体影響を調査する。具体的には、摂食量、摂水量、体重等の形態学的変化を測定する。抗酸化食品成分の中には 、抗ストレス作用を有する成分が多い。そこで、強制水泳試験等のうつ状態評価モデルや単独隔離等の社会的ストレス負荷モデル等を用いて、成長したマウスの情動性について評価する。 2. アントシアニン以外の成分にも視点を広げた研究を展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)