2013 Fiscal Year Research-status Report
正確な健康情報を提供するための難消化性オリゴ糖量の高精度評価法に関する研究
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24650498
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
田辺 賢一 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (60585727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 恒行 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 客員教授 (50010096)
中村 禎子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (60382438)
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Keywords | 難消化性糖質 / 難消化性オリゴ糖 / 食物繊維 / 分析化学 / 糖アルコール / AOAC公定法 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、加工食品成分に関する正確な健康情報を消費者へ提供するために、難消化性オリゴ糖の高精度定量法を確立することである。本研究では、難消化性オリゴ糖定量法であるAOAC公定法の酵素-HPLC法に用いられているアミログルコシダーゼの替りにブタ小腸粘膜酵素を用いることを基本にして加水分解システムを構築し、改良定量法を確立する。平成25年度は、ブタ小腸粘膜酵素の改良定量法に用いる酵素添加量を検討した。また、その添加量を基に定量法の妥当性をオリゴ糖の標準品を用いて検討した。 本研究で提案する難消化性オリゴ糖の改良定量法に用いるブタ小腸粘膜酵素添加量(α-グルコシダーゼunit量)の妥当性の検討には、加工食品への使用頻度を考慮し、スクロース、可溶性デンプンならびにイソマルトオリゴ糖を用いた。改良定量法は、簡便かつ正確な定量法を開発することを目的とするため、アミログルコシダーゼをブタ小腸粘膜酵素に代替する以外はAOAC公定法と同じ操作とした。いずれの3種類の糖質においても、ブタ小腸粘膜酵素の濃度依存的に未水解糖質画分として回収される糖質量が減少した。酵素添加量を検討した結果、AOAC公定法に添加しているα-グルコシダーゼunit量の約800倍が、適当な添加量であることが示唆された。さらに、先の実験で得られた酵素添加量を基にし、既に加工食品へ使用されているオリゴ糖の標準品を試料として改良定量法の正確性を検討した。難消化性オリゴ糖としてフラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖ならびにラフィノース、消化性オリゴ糖としてスクロース、パラチノース、カップリングシュガー、マルトトリオース、パノースおよびイソマルトオリゴ糖を用いた。改良定量法は、消化性オリゴ糖をほとんど水解し、難消化性オリゴ糖のみを水解せずに正確に定量できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実験計画において予定していた難消化性オリゴ糖定量法に添加する酵素量の決定は、概ね期待する結果を得ることができた。また、本研究で提案する改良定量法は難消化性オリゴ糖を消化性オリゴ糖として区別して正確に定量できた。得られた実験結果は、平成24年度から引き続き計画通りに進んでいる。しかしながら、ブタ小腸粘膜からの糖質消化酵素の大量単離・調製については検討した精製法では期待した結果は得られなかった。平成26年度も継続して実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究結果から本研究で提案するブタ小腸粘膜酵素を用いた改良定量法は、難消化性オリゴ糖の高精度定量法になりうる可能性が示された。しかしながら、難消化性オリゴ糖の高精度定量法として確立するためには、オリゴ糖定量結果の再現性ならびに様々な食品成分が混在している食品中の難消化性オリゴ糖を正確に定量できるか否か評価する必要がある。平成26年度は難消化性オリゴ糖の高精度定量法としての妥当性を検討することを目的に研究を進める。 申請者が提案する改良定量法は既存のAOAC公定法の定量原理を基にしてその酵素処理システムを構築したものである。しかしながら、本研究で用いているブタ小腸粘膜酵素は部分精製した水解酵素である。したがって、AOAC公定法と改良定量法の差異は酵素を代替しただけであるが、定量結果の再現性に影響を与える可能性がある。まず始めに難消化性オリゴ糖の定量結果の室内再現性を評価する。 平成25年度には、本研究で提案する改良定量法は、難消化性オリゴ糖と消化性糖質を区別して正確に定量できることを明らかにした。平成26年度は、改良定量法を用いて加工食品中の難消化性オリゴ糖を正確に定量できるか否かを検討する。改良定量法が難消化性オリゴ糖定量法と採用されるためには、様々な食品成分が混在している食品中の難消化性オリゴ糖を定量できる必要がある。本研究では2種類の実験を実施する。一つ目は、加工食品中に難消化性オリゴ糖を添加し、その添加回収実験を実施する。また、特定保健用食品を始めとした加工食品中の難消化性オリゴ糖を食品の容器包装に記載されたオリゴ糖含有量と同程度定量することが可能か検討する。ブタ小腸粘膜二糖類水解酵素の精製は、引き続き比活性が高い酵素精製法を粘膜からの可溶化に加え、アフィニティークロマトグラフなどを用いて再検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度から継続して実施しているブタ小腸粘膜からの糖質消化酵素の単離・調製が、期待したような結果が得られず、大量調製方法の確立に至っていない状況である。それゆえ、酵素精製に関連した支出が平成25年度は、少なかったことが原因である。 平成26年度も酵素精製法の確立に関する実験は、継続する予定である。現在、酵素精製法の確立において最大の問題である酵素の収率が少ないことを改善できるよう検討を行っている。
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Research Products
(3 results)