2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650508
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
山本 覚 福山大学, 生命工学部, 教授 (10191404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Fatty acid / omega oxidation / alfa oxidation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脂肪酸ω酸化経路が、飢餓等の糖をエネルギー源として利用できない緊急時に働く代謝経路であるとの仮説を立て、同代謝経路に関わる酵素系の解明と糖欠乏状態中の同代謝経路の働きについて研究を行った。 <脂肪酸ω酸化経路に関わる酵素系>ウサギ肝には5種類のアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)アイソザイムが存在するが、どれがω酸化経路で機能しているのかは不明であった。そこで、ウサギ肝のADHアイソザイムcDNAをクローニングし、大腸菌内で発現させた組換え酵素を用いてKm及びKcatを求めた。その結果、Kcat/KmはADH Class Iが最も高い値を示し、脂肪酸のω酸化には主にADH Class Iが働いていることが示唆された。 <ADH Class Iの発現に及ぼす絶食の影響>リアルタイムPCRにより、絶食処理によるADH アイソザイムのmRNA発現への影響を検討した。3日間絶食処理ではADH Class Iにはほとんど影響がないが、ADH ClassⅡ Isozyme 1は約2倍に、ADH Class Ⅱ Isozyme 2及びADH Class Ⅲでは1.3倍に増加した。以上の結果より、ADH Class Iは構成的に、他のアイソザイムは緊急時に誘導されて働いている可能性が示唆された。 <低温環境下における脂肪酸代謝>エネルギー消費が著しい低温環境における脂肪酸の代謝物を検討するため、尿中に排泄される脂肪酸の代謝物をGC-MSにより検討した。4℃で24時間飼育した週齢SD系ラットの尿中には、顕著な量の炭素数6、7、8、9、そして10のジカルボン酸が排泄されていることを明らかにした。この結果より、低温環境下において脂肪酸ω酸化だけでなく脂肪酸α酸化も同時に働くことが明らかになった。
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