2012 Fiscal Year Research-status Report
食品成分による腎臓AMPK活性化はIgA腎症を抑制するか
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24650509
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
木村 靖浩 別府大学, 食物栄養科学部, 准教授 (90549792)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 抗酸化物質 / IgA腎症 / AMPK |
Research Abstract |
糖尿病や免疫異常が原因となり惹起される腎炎に細胞内エネルギーセンサーとしてエネルギー代謝に重要な役割を担うAMP-activated protein kinase(AMPK)の関与が注目されている。糖尿病腎症や全身性エリスマトーゼスのループス腎炎においてレスベラトロールなどの食品抗酸化物質によるAMPK活性化やAMPK賦活剤により腎の肥大や炎症が軽減されることが報告されている。そこで、申請者はIgA腎症においても抗酸化物質及びアデノシン一リン酸(AMP)の投与が腎臓組織AMPKを活性化し、病態の改善に有効かIgA腎症マウスを使って検討している。 レスベラトロール及びAMPをIgA腎症マウスに投与し、解剖直近に24時間尿を、解剖時に血液及び腎臓を採取した。尿試験紙による尿検査では無処置対照群、レスベラトロール群及びAMP群すべてのマウスにおいて潜血は認められなかった。一方、尿タンパク質レベルはAMP群において軽減された。尿量に変化はなかったが、腎機能障害で増加する尿中アルブミン排泄量はレスベラトロール及びAMP投与により減少することがわかった。 今後、腎臓AMPKタンパク質の検出、腎臓病理組織標本の作製、腎組織炎症性サイトカイン濃度の測定、血液腎機能パラメーターの測定を行い、IgA腎症の病態改善にレスベラトロール及びAMPが有効か否かを検証し、その作用メカニズムにAMPKが関与しているかを確かめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に予定していた動物実験(飼育~解剖)は終了することができたが、年度末に長期海外出張が入ったため予定していた腎臓及び血液の評価指標の分析ができなかった(一部の病理標本作製、試料調製や分析には着手済み)。そのため実験の進捗状況はやや遅れ気味である。できるだけ早期に評価指標の分析を完了し、6月末を目途とし24年度動物実験の結論を得る。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度実施予定であった分析実験業務を速やかに終了させ、2種の被検物がIgA腎症の病態改善に有効か否かの結論を得る。またその作用メカニズムにAMPKの活性化が関与しているかを確認する。 その後、1)24年度に実施した動物実験において腎症改善に被検物の有効性が確認できた場合、例数を増やして同様の動物実験を実施し再現性を確認する。2)もし、被検物が腎症改善に有効でなかった場合、他のAMPKを活性化する食品成分を選定し24年度と同様の動物実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の長期海外出張により分析業務の進捗が滞った。そのため次年度に使用する研究費が発生した。 25年度研究費の使用計画 1)血液腎機能パラメーター測定キット、腎臓組織サイトカイン測定ELISAキット及びAMPK検出用抗体、ウエスタンブロット関連試薬及びその備品の購入、病理組織標本作製費用に使用する。2)24年度に実施した動物実験の結果を受けて、被検物の投与が腎症の改善に有効であった場合は、例数を増加して再現性を確認する実験に使用する。3)被検物の投与が腎症の改善に有効でなかった場合、他の食品成分を被検物として24年度に実施した動物実験と同様の実験を実施するために使用する。4)研究成果が出た場合、専門誌への論文投稿料に使用する。
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