2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650513
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
水谷 好成 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40183959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 茂樹 京都教育大学, その他, 副学長 (40273817)
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Keywords | 産業・技術教育 / ものづくり / 震災復興 / エネルギー利用 |
Research Abstract |
エネルギーに関連した教材の開発としては、初年度に開発した教材(昇圧回路型LEDミニライト、自走型コンデンサ自動車)の改良を進め、それぞれ授業実践により検証を進めた(塩竃第一中学校、大衡中学校)。新たに光電池とコンデンサ・充電池を組みあわせた教材として、明暗/振動をセンサで感知するLEDライト教材の開発を行った。被災地域における教室として、石ノ森萬画館(石巻)を会場として、LEDを使った光のインテリア工作教室を実施した。参加者のアンケートから、ものづくり工作教室が元気を与えるという感想や、教室の継続的な実施を望むなどの意見をいただいた。初年度に実施した教室の継続的な活動としては、LED制御教材いろは姫を使ったボックス型LEDランタンによる光のオブジェ作り(住吉台小学校6年)、牛乳パックランタン(南中山小学校3年生)などを実施した。実施学校と協力することで継続的な授業実践をしていくことが重要である。エネルギー活用に関する啓発的な教育活動として、エネルギーを使った作品コンテストとの関わりの検討を進め、京都を会場として、小学生を主対象にしたエネルギーを使ったものづくりに関する啓発的な工作教室を実施した。小学校の理科における「ものづくり」を取り入れた学習では、工夫することが求められているが、工夫をするためのヒントを適切に与えることが大切である。工夫をする余地のある教材を使ったものづくり教材の開発と活用方法の提示をしていくことが重要であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エネルギー利用教材として、初年度から開発・改良を進めてきた教材の改良と授業実践を行うことが出来た。昇圧回路型LEDミニライト・自走型コンデンサ自動車は、初年度の実践で明らかになった課題を踏まえた改良をそれぞれ行い、塩竃第一中学校・大郷中学校で授業実践を行った。実施対象の生徒の状況に応じた対応をする必要はあり、改良の余地も残されてはいたが、教材および指導方法を改良することで、限られた時間内で効率よく、かつミスの少ない製作が実現できるようになった。再生可能エネルギーの利用として、新たに光電池に注目した教材の試作開発を進めたことで、学年進行に応じた体系的な教育方法に関する見通しを立てることができた。 「LEDを使った光のインテリア工作」を題材とした対面型の工作教室を被災地域の石ノ森萬画館(石巻)において実施することができた。震災後の時間経過を経て、復興には開きが生じている。復興の遅れている地域における教育的な支援が重要であり、ものづくり教室は、復興的な教育支援としてニーズがあり、継続的な活動をしていく意義を明らかにすることができた。エネルギー利用の教育的な活用として啓発的な工作教室を仙台以外の地域(京都)で実施した。仙台(宮城)と京都という異なる地域で、工作教室を通した子ども達のものづくりに対する意識を簡易的なアンケートで調べ、今後の教育活動の方向性を考える手掛かりを得ることができた。被災地域以外でも、震災があったという記憶はあり、エネルギー利用が注目されている。震災から生まれたエネルギー活用に関する意識の高まりに注目した教育の重要性を示すことができ、最終年度の事業推敲への手掛かりが得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)開発・改良を進めてきた各種の教材のうち、昇圧型回路型LEDミニライト、自走型コンデンサ自動車については、さらに改良を進め、中学校における授業実践の中で教材の活用方法について実践的な検証を行う。光電池を活用したLED教材については、コンデンサや充電池を使った蓄電に注目した改良を進めるともに、振動や明暗を感知するセンサを使った教材の簡単化について検討を進め、小学生を対象にした工作の題材として活用する方法を開発し、授業あるいは課外の教室において実践的な検証を進める。 (2)2年目に実施したエネルギー利用を題材とした授業や工作教室の参加者を対象にしたアンケート結果の評価を行い、その結果を基にして、エネルギー関連の教育活動の方向性を明らかにしていく。 (3)開発した教材を使った教育活動(授業実践)ができる教員を育てるための研修メニューについて検討を進める。また、開発した教材を効果的に活用するための教員とのネットワーク作りを進め、開発した教材や学習方法を普及させる方法について検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たに開発を進めた光電池を使ったLED教材は、基礎的な構造を確認することはできたが、協力小学校での授業実践の調整の問題もあり、当該年度に授業実践まで進行することができなかった。開発した教材の授業実践は、次年度の授業実践に延期することにしたために必要な経費は次年度に持ち越すことにした。 OSの移行により導入を延期していたロボット制御用のコンピュータを用いた教材の開発については、Windows以外のタブレットの活用などの色々な可能性が出てきたため、当該年度末から次年度初めの期間に再度検討することにし、次年度に持ち越した。 (1)新たに開発した光電池とコンデンサ・充電池を組み合わせたLED教材の改良のための費用、ならびに授業実践/工作教室で使用する材料費として使用する。また、昇圧回路型LEDミニライト・自走型コンデンサ自動車の改良とそれらを使った授業実践で使用する材料費として使用する。 (2)機種選定を再検討することしたロボット制御などに用いるPC、タブレットなどの購入に使用する。 (3)最終年度であり、授業実践のための教材作成補助やデータ整理のための謝金、研究協力者による成果発表などの旅費として使用する。
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