2013 Fiscal Year Research-status Report
理科教育方法論の根本問題:科学理論と経験との関係に関する基礎研究
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24650517
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鶴岡 義彦 千葉大学, 教育学部, 教授 (80172063)
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Keywords | 理科指導方法論 / 教えて考えさせる授業 / 知識伝達・事例化モデル / 帰納的・発見的指導法 / 問題解決型授業 / 帰納的飛躍 |
Research Abstract |
理科指導方法論について、「教えて考えさせる授業」の提唱者による講演会に参加した。また「知識伝達・事例化モデル」の提唱者を招き、理科教育改革セミナーを開催した。小学校~高校教員約10名を研究協力員に任命し、「教えて考えさせる」方向性を持つ指導方法論について、複数回の意見聴取を行い、また議論を交わした。「教えて考えさせる」方向性を持つ授業に関連する所説として、「理論依存型業」、更に近年欧米で話題となってきた「反転授業」についても検討対象に含めることにした。これらの結果として、現段階では、次の段階に達している。 A.「教えて考えさせる」方向性を持つ立場の論者による、従来の理科指導法に対する認識、とりわけ問題解決型などと称される帰納的・発見的指導法に対する批判点を整理した。また、研究協力員の意見を踏まえて、「教えて考えさせる」立場に対する疑問点を整理した。 B.①問題解決型(帰納的・発見的)指導を可能とするには、当然ながら必要条件たる一定の知識(経験、情報)があること、②実験・観察などの経験的事実のみからは究極の法則には到達できないこと(帰納の飛躍)、更に③学校での授業としては、学習者の多様性を考慮に入れ、極力すべての学習者への適切性という観点から指導法を選択する必要があること。これら3点から論ずるべきであるとという考えに達した。 C.以上を踏まえて、理科授業の現実、教師が考える理想の指導法、「教えて考える」方向性をもつ指導法に対する教員の受止め方等の質問紙調査の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教師対象質問紙調査を実施する予定であったが、次の二点から見送ったことからの判断である。 1.調査の実施時期として2~3月を予定したが、研究協力員等による「この時期では高い回収率が見込めない」という推測。 2.研究協力員からの意見聴取を時間をかけて丹念に行うことが、より適切な質問紙作成につながると判断されたこと。 結果的に調査実施は遅れるが、質問紙の完成度は高まったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.教師対象の質問紙調査の準備はほぼ整ったので、5月中に発送し、8月中に一通りの分析と考察を終える予定である。 2.調査結果と「教えて考えさせる」方向性の指導方法論とをつきあわせて、この方法論に対する教師の賛否の理由、この方法論の意義などを考究する。 3.更にもう一度、斯うした検討結果について、研究協力員をはじめとする教員と討論を行い、所謂問題解決型指導法と「教えて考えさせる」指導法との根本的な差異、そして「教えて考えさせる」指導方法論提唱の意義と課題を解明したい。
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Research Products
(1 results)