2014 Fiscal Year Annual Research Report
理科教育方法論の根本問題:科学理論と経験との関係に関する基礎研究
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24650517
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鶴岡 義彦 千葉大学, 教育学部, 教授 (80172063)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 理科指導方法論 / 帰納と演繹 / 問題解決型授業 / 教えて考えさせる授業 / 知識伝達・事例化モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
「教えて考えさせる授業」や「知識伝達・事例化モデル」について、「問題解決型」と言われる帰納・発見的指導方法論と比較しながら、特徴を集約した。これらを踏まえ次の諸点を解明するために、小中学校教師対象調査を実施した。①教師の指導方法、②対立・論争点に関連する現実、③「教えて考えさせる授業」と「知識伝達・事例化モデル」の指導例に対する評価。なお①学習意欲、②知識・理解の定着、③いわゆる習得・活用・探究の比重などに留意した。 得られた主な結果を示せば次の通り。①教師は一般に、問題解決型授業を理想とするが必ずしも実践できていない。特に仮説(予想)の設定、実験等による解決策の計画等では、主導権を児童生徒に任せられていない。②教師は復習を奨励しても、予習を奨励することは殆ど無い。また、学習にとって大切な知識(情報、経験等)が不足していると感ずる教師が大半に上る。③「教えて考えさせる授業」や「知識伝達・事例化モデル」に対する評価は、学習意欲、知識・理解の定着、習得・活用・探究の比重など、いずれの点についても、割れた。中学校では、伝えるべき知識量が多いため、事例化の時間を長く取れないとの観点から、指導(習得)と活用を小刻みに繰り返す「教えて考えさせる授業」により多くの支持がある。 今後更に、単元毎に・実践的に研究されるべきことは、次の2点である。①当該単元で獲得・形成すべき知識に至る過程(習得の過程)を問題解決的・探究的に進める上で必要な前提となる知識(情報・経験)の獲得状況。②習得過程ではむしろ教師主導で進め、ひととおり習得した知識の活用場面、また他単元の知識等とともに知識を総合的に活用する探究場面に、従来より比重を与え、そこでこそ問題解決過程を踏ませるべきだという主張の評価。 なお研究成果は、機会を得て、Philippinesの Pangasinan State Universityにおける講演に含めることができた。
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Remarks |
『千葉大学教育学部研究紀要』は千葉大学学術成果リポジトリの一部として公開される。
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Research Products
(4 results)