2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650518
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
土橋 一仁 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20237176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 伸示 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70165893)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然科学教育(理科) / 温室効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、温室効果を実験室で再現するモデル実験器を実現することである。地球温暖化の主要因として、今や温室効果は極めて重要なキーワードとなっている。しかし、その原理は正しく理解されておらず、むしろ誤った理解が社会に浸透している。これは、温室効果の原理を正しく学習するための適切なモデル実験が存在しないためである。
温室効果は惑星スケールで起きる現象であり、それを実験室で再現するのは極めて困難である。我々はそのような実験器を実現するための問題点を洗い出し、次の3つを実現できれば温室効果を再現できると試算した。(1)太陽のモデルである高出力かつ安定な光源(数百W/平方メートルで光出力変動が0.5%以下)、(2)宇宙空間のモデルである安定した低温の容器(-30℃程度以下で温度変動が0.5℃以下)、(3)地球大気のモデルである可視光・近赤外線で透明で中間赤外線(10μm程度)で不透明な気体(真空中に1気圧の二酸化炭素または窒素の気体を封入)。
(1)については光源電源に高出力直流安定化電源を導入することにより、また(2)については実験器全体を-35℃の大型冷凍機に入れることにより、解決を図った。(3)については、真空引きした大きな容器の内部に岩塩を窓材とした小型の容器を設置し、その中に1気圧の気体を封入して実現を試みたが、脆弱な岩塩の性質や気体の交換用の弁の気密性の問題のため、安定して気体を封入できる小型容器の開発を終えたのは平成26年度になってからであった。完成後、地面に見立てた銅板に窒素または二酸化炭素を通して光を当て、銅板の温度を計測する実験を繰り返している。これら2種類の気体により、銅板には0.5℃の温度差が温室効果で生じるはずであるが、実験毎のバラツキが大きく、有意な温度差の検出は未だにできていない。平成26年度末現在、装置の安定性をさらに高めるための工夫を続けている。
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Research Products
(2 results)