2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650527
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 護 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (70335230)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 防災教育 |
Research Abstract |
本研究計画では被害が出るほど大きな地震のときにわたしたちはどのように揺れるのであろうか?という問いに対し自ら答えを探すきっかけを提供する教材を開発する。またその教材を用いた防災教育プログラムを開発する。本計画は1)地震の揺れをゲーム感覚で疑似体験することを可能にする体感型教材作成と、2)その教材を実践的に生かすための地震防災に関する資料型教材作成の2つのパートから成り立っている。 平成24年度は教材パートについて2足歩行ロボットの制御などに用いられる加速度センサーを購入しその信号をリアルタイム処理するソフトウェアの一部を開発した。 また資料パートについて身近な地震災害の事例を防災教育に資することを目的に教材作成の一環として京都市に存在する寺社の過去の地震被害について調査を行った。特に京都市内に現存する可能性のある江戸時代に地震被害の痕跡を探すことを行った。また過去の日本の地震動を概観する目的で気象庁震度データベースの統計的解析を行った。合わせて大阪地区における強震動ネットワーク(関西地震観測研究協議会)の波形データベースを解析し強震動発現に関する統計的検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では地震の強い揺れを疑似体験することを可能にする体験型教材とそれを活用するための教材パッケージの開発を並行して行う。 平成24年度は後者の教材パッケージの開発のために課題整理と資料収集を優先して行った。このため教材パッケージの開発については当初計画以上に進展があったと考える。 その一方小型加速度センサーを用いた体験型教材の開発においては平成24年度の成果はソフトウェアパッケージの一部の開発にとどまっており当初計画よりもやや進展が遅いと判断する。 以上を勘案し、研究計画初年度の達成度としては総合的にはおおむね順調に進んでいるものと判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降も引き続き小型加速度センサーを用いた体験型教材の開発とそれを活用する地震災害に特化した防災教育パッケージの開発に注力する。体験型教材は遊びの要素を加味しつつも教育の要素を失わないことが重要であると考えており、現在開発中のリアルタイムデータ処理ソフトウェアパッケージにおいてはその点に十分留意して細部までの検討を行うことを継続する。 頻度は低いが大災害となることが多い地震災害については身近な直接的体験が得難いことが防災教育上の留意点であると考えており、これまでと同様に資料収集と課題整理を行いパッケージ化に向けて努力を続ける。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は小型加速度センサーを用いた体験型教材の開発を継続して行う。この教材に汎用性を持たせるべくノートパソコンを利用してセンサー信号処理や結果表示などを行うことを考えており、この開発に注力する。 平成24年度までの調査結果として地震動の大きさに関しては気象庁が発表する震度の認知度が高いことが明らかになっている。現在の震度階は体感震度をベースにしたものを踏襲しており純粋理学的な地震学の立場からはやや扱いづらいものになっている。地震学の知見を教材の一部として生かす場合震度をどのように扱うのかは重要であると考えられ、平成24年度に引き続き震度情報を中心に強震動を整理し教材化に生かす方策を見つける方向で研究を実行する。この際歴史地震と現在の強震動の知見を関連化することが重要であると考えており、いくつかの歴史地震について現地調査を行うことを計画している。 地震学研究者や教育者との意見交換は重要であると考えており日本地球惑星科学連合大会等で成果発表を行い議論を深めることを計画している。
|