2012 Fiscal Year Research-status Report
大学教育研究機関におけるハザードの特定とハザードマップの作成
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24650529
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富田 賢吾 大阪大学, 安全衛生管理部, 准教授 (70422459)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大学の安全管理 / 事故事例 / ハザードマップ |
Research Abstract |
事故事例と、実際に現場の巡視を行った際の指導事項を元にしてハザードの特定を行った。特に、薬品による事故が多いことを受け、具体的に薬品事故の詳細分類を行い、事故を起こしやすい物質、その保持量との関係、事故を起こしやすい研究分野、学年等を詳細に分析した(2012年9月:Asia Pacific Meeting, The Society of Environmental Toxicology and Chemistry(熊本)において発表)。また、ハザードとして特に大きなものと考えられる火災発生については、事故が実際に多数起きていること、事故が起きた際の初期対応の未熟さ等が問題となっており、初期消火の方法、火災報知器の性能、火災受信盤の確認方法などを教育すること、そして、火災の広がり(特に廊下を経由した隣室等への広がり)、煙の拡散の状況などをハザードマップに活かすことを目的として、近隣消防署の協力の下、燃焼実験を行った。実際に部屋内でゴミなどを燃やし、火災の状況、煙の広がりの様子、感知器の種類と性能の違い、感知器の位置と感知の状況の違いなどを映像に収めた(学内における安全講習資料としても活用を始めている)。 これらの知見を元に、実際に学内で起こった事故事例と事故の数、被害の大きさを踏まえて、具体的なハザードの抽出を行い、そのハザードを元にして、工学部化学系の建物をモデルケースとして、フロアマップ上にハザードを書き込む作業を開始した。 主には薬品類の総量、特に消防法に基づく類別の表示、消火栓や消火器の位置などを部屋の入口、避難場所と合わせながらマップ化した。それに加えて、消防署からの意見や、実際に学内で起こった際に問題となる事故事例を踏まえ、消火に際して、使用可能な消火剤の種類と、消火器や水による損害が大きくなる高額機器の有無、感知器の位置などもマップ上に落とし込む形にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載したように実際に学内で起きた事故事例や、職場巡視における指摘事項を元に現場で起こりえるハザードの抽出が行えており、それに加えて、実際の事故を踏まえて、学内構成員の知識として不足していることや、把握していないこと、実際の災害時の初期対応として大事なことなどが抽出されてきており、大学という現場に即したハザードの抽出が行えている。また、並行して、それらの知識不足を補うための、教育教材等にも活かすことができる資料を作成することができている(実際に学内の安全講習会で使用を開始している)。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究実施計画に示しているように、他大学の事故情報の活用も検討する。実際の動きとして、具体的に現在、北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州大学の七大学の事故情報の収集活動と情報の共有を進めており、大阪大学が中心となり、その情報共有のシステムを作り、運用を開始した。これらの情報によって、事故情報の数も増加し、大阪大学以外の大学の状況も分かるようになっていることから、これらの情報を元に、さらにハザードの特定、拡張を行っていく予定である。 モデルケースとしていくつかの建物での情報のマップ化を行い、それらを学内の安全委員会等で検討を進めた上で、全学的に展開を図っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現場における職場巡視での指摘事項や実際の事故事例は、具体的なハザードの抽出や、学内構成員の知識として不足している点、把握していない点を抽出するには最良の方法であるので、引き続き現場における活動を継続する。そのために現場の職場環境の測定機材として、照度や騒音等の測定機材は昨年度購入したが、化学物質濃度等の測定機材等についてはまだ購入していないため、これらの機材を始めとして、測定用の機器の購入を進める。また、他の大学の実情、事故事例等の現状の確認と、実際に抽出したハザードの検証を行うため、複数大学での現場検証を行う。旅費としてそれらの大学への出張、及び国内、国外の学会での発表旅費として使用する予定である。
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