2013 Fiscal Year Research-status Report
小学校理科気象分野の「実感を伴う理解」を図る体験型教員研修プログラムの構築
Project/Area Number |
24650530
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
吉本 直弘 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10294183)
|
Keywords | 小学校理科 / 気象 / 実感を伴った理解 / 体験活動 / 教員研修 |
Research Abstract |
本年度は以下の3項目について研究を行った。(1)授業に導入できる,授業に役立つ観察・実験方法の開発,(2)小学校理科の気象分野において指導が難しい学習内容および児童の理解度が低い学習内容の調査,(3)体験型教員研修の実施である。(1)では,公立小学校20校の百葉箱内に温度データロガーを設置し,気温の継続観測を実施した。この気温データを用いて,小学校第4学年「季節と生物」の授業に活用できるWeb教材を制作し,各小学校に紹介した。また,小学校第4学年「水のすがた」の水の凍結実験における過冷却を抑制する方法について,日本理科教育学会で研究発表を行った。さらに,雨の強さと雨滴の大きさの関連づけを図る模型教材の開発では,大阪教育大学研究紀要で論文発表を行い,弱い雨から強い雨まで様々な雨の強さに対する研究結果について,可視化情報学会で研究発表と論文発表を行った。 (2)では,平成24年度全国学力・学習状況調査の小学校理科において,1日の気温の変化と天気との関係づけに課題が見られたことから,大阪教育大学の教員養成課程における気象関連科目において観察・実験を取り入れた授業改善を行い,大阪教育大学研究紀要で論文発表を行った。 (3)では,大阪教育大学柏原キャンパスと天王寺キャンパスにおいて,体験型の教員研修を3回実施し,研修で用いた資料や教材をWeb上で公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画の「(1)学習内容の背景となる気象学の基礎知識の整理,(2)観察・実験の準備から実施,結果の整理に至るまでの授業の進行におけるポイントと課題の解明,(3)気象の観察・実験の体験型教員研修プログラムの構築,(4)教員研修の実施」は,概ね順調に進展している。(1)では小学校の学習内容に照らし合わせて気象学の基礎知識を整理し,資料を作成した。(2)では,授業の進行のポイントを整理した資料を作成した。(1)と(2)で作成した資料は,大学の授業で学生に配布し,小学校の教員養成に役立てた。(3)では,第5学年の「天気の変化」の導入に使える雲の発生実験について,その実験方法と授業における実験の位置づけを整理した。また,天気の変化のきまりについて動画教材を制作し,それをWeb上に掲載した。(4)では,体験型の教員研修を3回実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,観察・実験の体験活動を取り入れた教員研修(体験して楽しく学ぶ小学校理科-水と空の教室-)を大阪教育大学天王寺キャンパスにおいて平成26年7月31日に実施する。加えて,小学校の百葉箱での気温の継続観測を生かし,「1日の気温の変化」や「季節と生物」の授業に活用できる教材を製作する。これらの教材を小学校教員に紹介し,教員アンケートを実施して評価を受ける。また,「水のすがた」の水の凍結実験では,平成24年度に行った研究を進展させ,小学校の理科室で実施できる水が0℃で凍結しやすい実験方法を確立する。これらの研究成果をもとに,教員向けの授業ガイド資料を制作する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の3,497円については,この金額の中で使用するよりは次年度の研究費と合わせて使用する方が適切であると考えた。 小学校の百葉箱に設置している温度データロガーの維持管理およびデータ回収のための調査・研究旅費として100,000円,日本地学教育学会,日本理科教育学会,可視化情報学会における成果発表として200,000円,消耗品費として303,497円,研修開催費として200,000円を使用する計画である。
|