2012 Fiscal Year Research-status Report
ハザードマップを活用した中・高等学校理科地学領域の指導法に関する研究
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24650533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
三次 徳二 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (10298127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然科学教育 |
Research Abstract |
本課題では,中・高等学校理科におけるハザードマップを活用した授業を行っている事例を調べ,それぞれの授業内容についての分析を行い,降雨,火山,地震の災害予測を,理科の授業の中に取り入れていく方法について提案することを目的としている。 この背景には,中・高等学校理科の中でも地学領域は日常生活や社会との結びつきが強い内容を多く含んでいるにもかかわらず,地域ごとの自然が多様であるため教材化が難しく,その結びつきがほとんど扱われていない現状を改善することがある。地学療育は自然災害の原因についての学習を行うが,その内容と日常生活や社会との結びつきについて指導ができていない。そのため,地域に災害をもたらす自然現象が一定の時間内に発生する確率を図に示した災害予測図であるハザードマップを活用することで,改善が図れないか検討を行う。 今年度は,ハザードマップを活用した授業の事例を収集することが主な研究内容であったため,中・高等学校理科の主たる教材である教科書の分析,学会における情報収集,都道府県レベルの教育委員会理科担当指導主事への聞き取り,中・高等学校の授業見学を行った。まず教科書の分析においては,中学校3年理科,高等学校地学基礎,科学と人間生活において,すべての教科書がハザードマップを扱っていることが確認された。一方で,教科書のハザードマップは縮小により内容を読み取ることはできず,実際に授業を行う教師が意識して地域のハザードマップを活用しなければ,生徒は実際のハザードマップに接することができないことも明らかになった。次いで中・高等学校や学会における情報収集,理科担当指導主事への聞き取りについては,事前に予想していた通り,ごく限られた教員が先行的に実施した例があるのみであることがわかった。教員もハザードマップに興味があるものの,どのように扱えばよいか検討中であるように感じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在,研究開始から1年を経過したところであり,当初の計画通りハザードマップを活用した事例の収集を行っている。「研究実績の概要」に記したとおり,理科授業の主たる教材である教科書の分析は進んでおり,また現状についての把握もおおむね完了した。そのため,おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については,授業の事例の収集を続けることと,ハザードマップを活用した理科授業の一般的な指導法を提案すること,学校現場における指導法の検証の3点が挙げられる。特に授業の事例の収集については,新学習指導要領が学年進行で実施されていくため,今年度あまり得られなかった実践事例が出てくる可能性がある。また,一般的な指導方法の提案とその検証については,1年目に構想したものの,学校現場の教員の評価を得ていない。そのため,3年目末の研究期間終了に向けて,2年目において実際に指導する教員の立場から辛口の評価を得たい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
都道府県レベルの理科担当指導主事への聞き取りが,科研費を用いた出張ではなく,別の機会(高等学校各教科等教育課程研究協議会,通称指導主事会への参加)にまとめて行うことができたため,旅費を用いなかった。一方で,次年度以降にいくつかの学校で実際にハザードマップを活用した授業を実施する可能性について情報が得られたので,今年度旅費として使用しなかった研究費をそこに用いることとした。
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Research Products
(2 results)