2012 Fiscal Year Research-status Report
大学基礎物理教育における学生の学習意欲と学習行動を含んだ包括的学習モデルの構築
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24650536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 洋子 千葉工業大学, 工学部, 助教 (70406651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 義一 千葉工業大学, 工学部, 助教 (40409925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学習意欲 / 興味 / 物理 / 工科系大学 / アクションリサーチ / 自己調整 |
Research Abstract |
工科系大学において物理は,専門科目の基礎にあたる重要な科目である.しかし,物理学科の学生とは異なり,工科系大学の学生は物理それ自体に強い興味関心を持っているわけではない.また,特に1,2年生の段階では,自分の専門科目についてまだ詳しくない.そのために専門科目と物理との関連について十分には理解できず,物理を学ぶ重要性の認識についても表面的なものにとどまってしまうことが予想される.さらに,工科系大学といっても,高校時代は物理に対して苦手意識も強く物理を履修選択していない学生もいるのが現状である. そういった状況下において,学生自身の物理に対する学習意欲(学習動機や興味関心)が,大学への移行に伴ってどのように変化するのか,また,その変化の規定因を調査することは,工科系大学における物理のカリキュラムや指導方法,学習環境を考えていくうえでの一助となるだろう. 今年度は,次の4点について予備的な調査,研究等を実施した.①工科系大学における入学後の物理に対する学習動機の変化,②物理に対して学生が感じている面白さの特徴,③大学入学に伴う物理に対する興味の変化とその規定因の探索的分析,④工科系大学において教育系研究者と理系研究者とのアクションリサーチの第一段階としてWikiを用いた授業リフレクションの試行. その結果,①工科系大学入学後から半年間の間に、学生の物理に対する学習動機は低下し続けていたこと,②物理に対して学生が感じている面白さは内容理解が絡んでいること,③物理に対する興味は内容理解の深まり,実用性の認識,実験,楽しさの実感をきっかけとして上昇することなどが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は文献研究と予備調査を実施し分析等を行うことができた。ただし、文献研究と予備調査の結果から、当初の研究目的を多少修正する必要が生じ、新たに文献を収集し整理する必要が出てきたこと、また、研究目的を達成するために新たに調査を計画する必要も出てきたため、当初の計画よりはやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
工科系大学において物理は専門科目の基礎となる重要な科目である。しかし、物理学科の学生とは異なり、入学当初から物理の学習それ自体に深い興味や非常に高い学習意欲を抱いているわけではない。そのため、物理を学ぶ際、学生は学習意欲や興味を自ら調整・育成していく必要がある。そういった状況下で、工科系大学の学生は実際に物理に対してどのような興味や学習意欲を抱き、また、それらを自己調整しているのだろうか。今年度はその興味や意欲の自己調整の様相を描出することを目的としている。 具体的には、工学系大学の学生500人程度を対象とし、専門科目の基礎となる物理に対して次の4点についてアンケート調査と半構造化インタビューも実施する予定である。①物理に対して抱いている興味の質の検討、②物理を学習する際に用いている自己動機づけ方略、③興味を深めるために学生が有効であると考えている自己動機づけ方略、④物理への興味の質と自己動機づけ方略の使用や有効性の認識との関連。 また、上記のアンケートの結果をさらに補足するために、講義のフィールドワークなども行い、講義担当者・学生にもインタビュー調査等を実施し、情報を補足していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.消耗品費について 文献資料:本研究では、物理教育・物理学・教育心理学・教育方法学に関する先行研究(論文)を取り寄せる際、1件平均1千円程度、専門書は1冊平均4千円程度かかる。今年度、論文は1千円×50件=50千円、専門書4千円×25冊=100千円、合計150千円が必要である。 2.謝金等について 今年度は、アンケート調査のデータ入力に延べ60時間×時間単価1千円=60千円が必要。インタビューと話し合いの文字記録を効率的に作成するため、速記業者(60分テープの文字記録化に2万円必要)に委託し、その後、申請者がチェックする形で実施する。学生・教員への計20時間程度のインタビューを予定しているため、その文字記録化に2万円×20本で40万円が必要となる。 3.国内旅費・海外旅費等 本研究の成果を広く還元するため、積極的に学会発表し、論文投稿を予定。1回の国内発表で一人10万円、さらに研究成果発表費として、ポスター原稿作成代、投稿料、論文別刷代として1回の発表につき50千円がかかる。さらに海外での発表も実施する予定である(約20万円)。
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Research Products
(4 results)