2013 Fiscal Year Research-status Report
大学基礎物理教育における学生の学習意欲と学習行動を含んだ包括的学習モデルの構築
Project/Area Number |
24650536
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 洋子 千葉工業大学, 工学部, 助教 (70406651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 義一 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (40409925)
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Keywords | 高等教育 / 物理 / 意欲 / 興味 / 授業リフレクション |
Research Abstract |
理工系大学であっても、理科系科目に対して学習意欲と予備知識を携えていない学生が入学してくるようになった。本研究では、彼らの学習意欲と行動の変容に着目し、教育心理学的アプローチを用いて大学の基礎物理教育を分析する。そして学習意欲と予備知識が十分でない学生に対し効果的な、物理教育の包括的な学習モデルを提示することが主目的である。具体的には①横断的アンケート調査による、先行研究では十分には検討されていない、大学基礎物理科目における理工系学生の学習意欲と学習行動の要因の影響も組み込んだ包括的学習モデルの構築、②講義のフィールドワークを通したモデルの精緻化と意欲の変容プロセスの特定、③大学における、授業改善のためのアクションリサーチの方法論の確立、を目指している。 本年度は、②について、理工系学生の物理に対する学習意欲の継時的な変化とその要因を検討するために、質問紙調査、講義のフィールドワーク、学生へのインタビューを実施した。その結果、4月から7月にかけて学習意欲は一様に低下していくこと、特に学習意欲の中でも物理に対する興味関心は成績と強い関連がみられること、成績のよい学生たちはそうでない学生と比較して、興味を高めるための方略を理解し、実施していることが示唆された。また③については、大学授業改善のためのアクションリサーチの一環として前年度に実施したWiki上での物理授業の毎授業後のリフレクションについて、今年度はさらに詳細にそのやりとりについてプロトコル分析を実施。物理教師へのインタビュー等から、大学教員(物理教員)が授業リフレクションを通して授業研究に対する興味をどのように高めていくのかについてHidiら(2006)の興味発達のモデルをもとに予備的分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ整理と分析はある程度進めることができたが、当初の予定では、その成果を複数の学会で報告することになっていた。しかし、研究代表者が昨年度後半に体調を崩し入院、その後も通院しなければならない状態が続き、授業等の通常業務をこなすだけで精一杯という状態であったため、成果の発表を昨年度中に十分に行うことができなかった。今年度は、体調も回復したので、昨年度の分まで成果発表に力を入れる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、物理に対する学習意欲の調査対象をさらに広げ、他大学や高校でも調査を実施する。また、物理講義へのフィールドワークや学生へのインタビュー調査をさらに進め、工科系大学生の物理に対する意欲と学習行動を含んだ包括的学習モデルを詳細化していく予定である。その後、そのモデルをもとに、アクションリサーチのPDCAサイクルをさらに進め、そのサイクルのプロセス自体についても検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度後半、研究代表者が体調不良のため、学会等の成果発表が十分にできなかった。そのため、学会発表等のための旅費や参加費、準備費用を使用できなかったため、次年度に繰り越すこととなった。 昨年度に使用する予定であった研究成果報告のための費用を今年度に繰り越す。具体的には学会参加のための参加費や旅費、ポスター作成等にかかる費用等に使用する。
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Research Products
(2 results)