2014 Fiscal Year Annual Research Report
大学基礎物理教育における学生の学習意欲と学習行動を含んだ包括的学習モデルの構築
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24650536
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
市川 洋子 千葉工業大学, 工学部, 助教 (70406651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轟木 義一 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (40409925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物理 / 興味 / 教師教育 / 授業改善 / 気づき |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、理科離れが学校段階の進行につれて顕著になるうえに大学の大衆化も重なり、理工系大学であっても、理科系科目に対して学習意欲と予備知識を十分には携えていない学生が入学してくるようになった。このような現状に対し、教育心理学の分野では、学習意欲について、その特徴や学習行動との関連の仕方の各学校段階における違いが、小・中学校の理科を対象に検討されてきたが、高校段階以降についての研究は十分にはなされてこなかった。さらに小・中学校の場合と異なり、大学授業改善のためのアクションリサーチや授業者と教育系研究者との共同についての方法論は十分に確立されていない。そこで本研究では、①工科系大学における入学後の物理に対する学習意欲の変化、②大学入学に伴う物理に対する興味の変化とその規定因の探索的分析、③工科系大学において教育系研究者と理系研究者とが協働して実施する授業の振り返りとそのプロセスの特徴、の3点に着目して調査、分析をおこなった。その結果、高校時代と比較すると物理に対する興味は高まるものの、大学入学後から前期末の7月にかけて学習意欲は一様に低下していた。その過程において、成績のよい学生たちはそうでない学生と比べて物理学習において興味を高めるための方略を理解し実施していた。また、物理に対する興味関心が低下するきっかけとしては、問題が解けるようになるといった学習に対する効力感の低下に関わる経験のみが語られるが、興味が高まる場合は効力感の上昇といった経験に加えて、学習内容の有用性や実験の楽しさといった他の要因もきっかけとなることが多いことが見出された。最後に、授業の振り返りについては、教育系研究者は科目内容についてではなく、授業者の行為の意図を細かくたずねることが多かったが、そのようなやりとりを通して、授業者の授業についての語りの量と質が変化し、新たな気づきがうまれることが確認された。
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Research Products
(2 results)