2012 Fiscal Year Research-status Report
成績評価理論に着想を得た大学における学修評価指標の研究
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24650562
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
奥田 隆史 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (20204125)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 成績評価 / 学修評価指標 / マルチエージェント / 成績評価理論 |
Research Abstract |
我が国の大学においても,GPA制度が導入され,これまで単位取得という学修の“量”だけに着目しがちであった大学の成績評価を,その“質”も重んじるという効果をもたらしている.一方で,GPAを下げることにつながるリスクを回避するために,学生がとる履修行動(成績評価が厳しい科目の履修回避,履修科目数の自主制限)が問題になってきている.つまり,GPAシステムには,学修意欲を向上させる正のインセンティブだけでなく,負のインセンティブをも含んでいる.そこで,本研究では,野球における打者成績の質(単長打・凡打等)と学業成績の質とのアナロジーに着目し,野球選手評価数理理論セイバーメトリクスの着想を,大学における成績評価へ適用し,GPAに代わる新しい成績評価指標を提案するとともに,その有効性を検証する. 目的を達成するために,申請者がこれまでに培ってきた基礎技術(マルコフ連鎖,マルチエージェントシミュレーション技術と行動経済学)を利用し,次の3つの手順:①評価手法の確立:成績評価指標の考案と学生の履修・学習行動エージェントモデルの確立,②提案評価指標の評価:マルチエージェントシミュレーションによる評価指標の検証,③提案評価指標の適用・検証:アンケートによる評価指標の適用・検証とまとめ,で研究を推進する.平成24年度は①評価手法の確立:成績評価指標の考案と学生の履修・学習行動エージェントモデルの確立に取り組み,研究成果を下記のように公表した. 前田翔馬,奥田隆史,井手口哲夫,田学軍:野球評価理論に着想を得たGPAの提案とその有効性の検証,日本教育工学会第28回全国大会,pp.285-286,長崎大学 文教キャンパス(長崎),2012/9.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,目的を達成するために,申請者がこれまでに培ってきた基礎技術(マルコフ連鎖,マルチエージェントシミュレーション技術と行動経済学)を利用し,次の3つの手順:①評価手法の確立:成績評価指標の考案と学生の履修・学習行動エージェントモデルの確立,②提案評価指標の評価:マルチエージェントシミュレーションによる評価指標の検証,③提案評価指標の適用・検証:アンケートによる評価指標の適用・検証とまとめ,で研究を推進している. 平成24年度は①評価手法の確立:成績評価指標の考案と学生の履修・学習行動エージェントモデルの確立に取り組み,研究成果を教育工学会で公表することができた.また,エージェントの行動モデルについて様々な検討を行い,その成果を公表することができた. ■前田翔馬,奥田隆史,井手口哲夫,田学軍:野球評価理論に着想を得たGPAの提案とその有効性の検証,日本教育工学会第28回全国大会,pp.285-286,長崎大学 文教キャンパス(長崎),2012/9.■池谷健吾,奥田隆史,井手口哲夫,田学軍:ソーシャルメディアにおけるユーザ間相互作用によるアクセスパターンへの影響,平成24年度電気関係学会東海支部連合大会,B1-2,豊橋技術科学大学(豊橋),2012/9.■三浦智裕,奥田隆史,井手口哲夫,田学軍,年功序列制を採用する組織における昇進可能性の分析-Social Queueを用いた-,平成24年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集,B5-5,豊橋技術科学大学(豊橋),2012/9.■池谷健吾,奥田隆史,井手口哲夫,田学軍:ICT演用環境における投票による集団的意志決定アルゴリズムの提案と評価,平成24年度情報処理学会全国大会,3ZD-6,東北大学(仙台),2013/3.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25,26年度の研究は次の計画で推進する. ■平成25年度:目的を達成するために,申請者がこれまでに培ってきた基礎技術(マルコフ連鎖,マルチエージェントシミュレーション技術と行動経済学)を利用し,平成25年度は②提案評価指標の評価:マルチエージェントシミュレーションによる評価指標の検証に取り組む. 平成24年度に研究した評価指標を利用し,(1)マルチエージェントシミュレーションにより評価指標の有効性を検証するとともに,(2)実際に提案評価指標を導入した場合の有効性の検証する.必要に応じて評価モデルの変更や評価指標の再定義を行う.さらに,提案手法を(3)様々な知識創造プロセスへと拡張し,その有効性を確認する.具体的には,マルチエージェントシミュレーションによる検証,卒業研究実施時の状況を観察しその有効性を検証する.また,企業プロジェクトの事例を収集し,提案モデルを当てはめる. ■平成26年度:目的を達成するために,申請者がこれまでに培ってきた基礎技術(マルコフ連鎖,マルチエージェントシミュレーション技術と行動経済学)を利用し,平成26年度は③提案評価指標の適用・検証:アンケートによる評価指標の適用・検証とまとめ,に取り組む. 平成25年度までに得た評価指標について,大規模なアンケートを実施し,その有効性と実施における問題点を明らかにする.また,開発プログラムやデータの整理を実施し,本研究プロジェクトをまとめる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
■次年度使用額が生じた状況 研究を推進するために予算計上したパーソナルコンピューターを購入する予定でいたが,購入予定機種のOS等のバージョンアップ等が確実に生じそうであったため,バージョンアップにともなうトラブルが落ち着くであろう平成25年度に購入することにした.なお,平成24年度は申請者の所属大学の個人研究費により整備していたパーソナルコンピューターを利用して,研究を推進した. ■平成25年度以降の使用計画 平成25年度以降は物品費の購入には,パーソナルコンピューター等の機器は含まれていなかった.そのため,次年度使用額はパーソナルコンピュータを含む研究推進のための機器購入に充てる.それ以外の旅費,人件費・謝金,その他については計画通り,研究を推進するために使用させていただく.
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Research Products
(4 results)