2013 Fiscal Year Research-status Report
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24650564
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 杉弥 日本工業大学, 工学部, 教授 (00286022)
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Keywords | 理科教育 / 科学教育 / 物理教育 / 演示実験 / 遠隔実験 |
Research Abstract |
本研究では、数種の物理演示実験装置を作成し、パーソナルコンピュータを用いてその場にいるようにWebブラウザ経由で遠隔利用できる、授業支援システム(テレイグジステンス実験システム)を開発し、また、その製作メソッドを確立すること,および,それらを用いた効果的な教授法を研究し総括することを目的としている。平成24年度は実験装置として「光学演示装置」および「モンキーハンティング実験装置」のプロトタイプの製作を行い、予備的なデモンストレーション実験を行った。ひきつづいて平成25年度は、装置の増産、新規作成と、教授法についての研究を進展させた。 装置関連では、昨年度開発した2装置については増産を行った。また、あわせて、改良を行った。光学演示装置では、この装置の特徴としてレーザー光の散乱媒体として超音波霧化装置で発生したミストを用いているが、超音波霧化ユニットの比較検討と撹拌ファンの位置等の変更を行い、ミスト分布の均一性と使用の利便性を高めた。モンキーハンティング演示装置では、投射体の発射装置を自動化のために新規に作成し、また、落下体のターゲッティングの視認性を高める改良を行った。新規装置としては、当初予定の液体窒素装置に代えて、大気圧からグロー放電にいたるまでの観察を行える「真空放電演示装置」を新たに製作してデモンストレーションを行った。 教授法については、まず実践として模擬授業を目標とし、近隣の学校での出前授業などで現場ので装置の演示を取り入れて反応をみた。また、遠隔授業の計画について教員と打合せをもったが、実施にはいたらなかった。効果的な授業への導入の研究として、遠隔実験への前段としてこれまで開発した演示装置を含め、スケーリングと活用展開についての考察をまとめ論文とした。モンキーハンティング装置、および、遠隔実験システムについても発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度は当初計画では装置の増設および複数台を遠隔操作する研究授業を行い総括をする予定であったが、平成24年度の時点で予定した装置の一部未完成、遠隔化授業の未実施などの遅れが生じていた。これをふまえて平成25年度の新たな研究計画では、未完成装置である液体窒素装置を真空放電装置に代えて製作し、その他の装置については増産を行い、また、研究授業の実施および教授法のとりまとめを計画していた。 このうち装置関連については、平成24年度にプロトタイプを完成させた光学演示装置およびモンキーハンティング装置の増産を行い、真空放電装置を新規に製作できた。しかし、それぞれの遠隔化についてはインターフェース製作の遅れが取り戻せずにいる。また、真空放電装置はカメラ越しや低圧領域では光量が不足することが判明したため、結果的に新たに電源装置を購入することにしたが、時期が遅れたために授業に供することはできなかった。 教授法については、前年度に引き続いた現場でのデモンストレーションを行い、遠隔実験を取り入れた研究授業の打合せまでを近隣中学校などと行ったが、前述のインターフェースの遅れと日程の調整が合わずに実施できなかったため、演示実験の各種スケーリングと活用展開に関するこれまでの実績を踏まえた考察の発表と現状報告にとどまった。 結果として当年度で完了とするには不十分であるため、補助期間の延長を願い出て承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに達成度から、ボトルネックは研究授業と遠隔操作インターフェースの完成であるので、前半はそれに注力する。研究授業については平成25年度にコンタクトをもった学校等と再度計画をつめて進める。インターフェースの完成を待たずしても、装置側に補助者を置けば擬似的に遠隔操作可能であるので反応をみるためにはまずその方向で進めたい。授業への適用については平成25年度の考察によって授業実施者、授業受講者のそれぞれについて活用展開の可能性があることがわかったため、生徒を交えない形での利用についても実施を行いたい。特に近隣の春日部市では科学教育重点校の教諭とのコンタクトができたので早期に行いたい。装置について、遠隔インターフェースはあまり体裁にこだわらず最低限の機能を平成26年度前半に完成させ実用に供し、後半でブラッシュアップする。また、真空放電装置の自動化を行いながら、制御マイコンの使用法などの共通点を抽出し整理する。 全体のまとめについては平成26年度後半の早期にはじめ、装置については作成方法およびマニュアルの整備、教授法については研究授業のとりまとめと利用法の提案のまとめを行う。以上の成果は秋季の応用物理学会または日本物理学会で中間発表し、平成26年度後半には論文作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
作成装置の変更を行ったが、装置の最終的な完成に問題があったため物品購入の変更などを行ったが最終的に完成させることができなかった。また、研究授業の実施について遅れが出たため予定通りの旅費執行ができなかった。 研究授業と学会の旅費・参加費、および、最終的な装置完成の材料費として使用する。平成26年度前半でおよそ装置に関してはおよそ完成させ、また研究授業を実施する。平成26年度後半では学会での発表を行い、装置の最終的な調整を行う。
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