2012 Fiscal Year Research-status Report
応力を可視化する構造教育用ツールおよび研究用ツールの開発
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24650573
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
服部 宏己 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 教授 (50510476)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 建築構造設計 / 構造教育 / 可視化 / 応力発光材料 |
Research Abstract |
本研究は、応力発光材料を用いて応力分布の可視化を実現し、構造設計を対象とした種々の建物架構に生じる応力分布を視覚的に理解するための構造教育用ツールを開発することを目的としている。 これまでの一連の研究によって、最大応力および応力速度の違いによる発光の傾向を明らかにしてきたが、定量化するまでには至っていない。そこで、平成24年度は、発光量と応力の大きさおよび応力速度の関係について定量化実験を行うとともにその検証実験を行った。その結果、圧縮載荷時の階調値と最大応力の関係は直線的に表され、応力速度が大きいほどその勾配が大きくなることを明らかにした。曲げ載荷実験による検証実験では、実験値と曲げ応力を用いた計算値の間に違いが見られる結果となったため、その原因として、試験体サイズが小さく、明るく発光した光がその近傍まで影響しているかまたは曲げ応力以外の応力によって発光しているものと推察した。そこで、試験体サイズを2倍とし、試験体高さ(スパン-高さ比)を変化させた単純梁試験体の載荷実験を行い、その発光状況について有限要素法解析結果と比較検討した。その結果、曲げ・せん断載荷時においても、応力が大きくなるほどまた応力速度が速くなるほど明るく発光し、応力発光材料を用いて作成した試験体は、曲げ応力ではなく、主応力に対して発光することを明らかにした。 これらの結果は、視覚的に理解できる構造教育用ツールを開発する上で最も基本となる意義のある知見であり、「建築構造設計を対象とした構造教育に関する研究 (その3:応力発光材料を用いた発光量の定量化実験)」と題して2012年度日本建築学会大会(東海)において発表し、「建築構造設計を対象とした構造教育に関する研究 (その4:曲げ・せん断載荷時の発光状況に及ぼす試験体高さの影響)」と題して2013年度日本建築学会大会(北海道)に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画では、発光量と応力の大きさおよび応力速度の関係について定量的に明らかにし、その結果を検証することを目的としており、上記の「研究実績の概要」に示したように、定量化については一定の結果が得られている。しかしながら、検証実験については、予想とは異なる結果となったが、新たに試験体サイズを2倍とし、試験体高さ(スパン-高さ比)を変化させた実験を行うことによって、応力発光材料を用いた試験体は、曲げ応力ではなく、主応力によって発光しているという極めて重要な結果を得ることができた。 また、研究環境においては、これまでの機器では比較的大きいサイズの試験体の載荷実験を行うことができなかったが、科学研究費を活用することによって、広範囲なサイズの試験体を用いた種々の載荷実験ができる環境を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画は、構造教育用ツールおよび研究用ツールを開発することとしている。しかしながら、平成24年度の研究により、応力発光材料を用いた試験体は、曲げ応力ではなく、主応力によって発光しているという結果が得られたことから、平成25年度は、平成24年度で得られた実験結果を用いて、有限要素法解析によりさらに詳細に発光量と応力分布の関係を解明していくこととする。これらの詳細な関係を明らかにすることによって、構造教育用ツールの開発に加え、研究用ツールの開発に繋げることができるものと思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、節点数の制限の小さいEasy-σ Lite(フリーソフト)を用いて有限要素法解析を行った。平成25年度では、平成24年度で得た実験結果に対して、更に詳細な解析を進めるとともに、複雑な架構についても解析ができるようにするため、有限要素法解析プログラムEasy-σ(997,500円)を購入する予定である。 また、実験の材料費、研究発表等の費用として、約210,000円を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)