2012 Fiscal Year Research-status Report
無線センサネットワークで切り拓くリアルタイムレスポンスアナライザーの創製
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24650574
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
工藤 隆男 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10110214)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レスポンスアナライザ |
Research Abstract |
レスポンスアナライザは学習者個々の理解度を把握しながら授業を進める上で極めて有用であるが、有線方式の場合、配線制約から使用される教室が制限されることが解決すべき課題である。また、学習者個々の実験データそのものを収集分析する機能を備えた例は見当たらない。そこで、本研究では、無線センサネットワークに着目し、実験データの収集分析機能を有するレスポンスアナライザを試作し、その実用可能性について実験的に評価を行うことにした。 24年度には、見通し距離で数十mの無線通信を可能とするZigBee方式の無線モジュールを用い、クラス定員40名程度の一般教室におけるデータ収集については十分通信可能であることを実験的に確認した。さらに、数台の無線モジュールを用いた小規模無線ネットワークシステムの立上げと通信品質の改善についても実験的に評価し、これらの成果については関係学会で報告した。 25年度以降は、1クラス40名程度を想定し、SP分析を主とする授業分析機能を備えたシステムを立上げ、実際の運用環境において、更に評価を重ねたい。親機には1個のZigBeeモジュールをUSB接続したウインドウズパソコンを用い、その機能として、子機からのデータ収集と、学習支援や授業分析に有用なデータ分析・表示をリアルタイムで行う機能の実現を目指す。また、システムの改良や機能拡張などを容易にするため、親機の機能についてはすべてExcel_VBAにより実現する。子機には、多肢選択式の回答機能だけにとどまらず、実験データを直接収集可能とする機能を備える。また、現在まで試作を繰り返しているプロトタイプの試作結果を踏まえ、量産を容易にするためのマイコン選択についても検討を加える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無線方式の選択に当たり、実験室環境で使用可能な代表的無線方式であるWiFi、Bluetooth、ZigBeeの中から、レスポンスアナライザ試作に必要な電源電圧や接続可能な端末数などの条件に基づき、ZigBee方式のモジュールを用いることとした。得られた成果は以下のとおりである。 1、多肢選択方式回答機能を備えた子機のプロトタイプ試作についてはワンチップマイクロコンピュータをベースとした。学生の使いやすさを考慮して、多肢選択方式における解答番号の入力・表示機能や、解答訂正機能、データを転送できたことを知らせる機能を実現した。 2、親機のプロトタイプには、子機からのデータ収集・表示機能を備えることとし、表計算ソフト用プログラミング言語であるExcelVBAを用いて実現した。この言語を用いることで、今後の機能拡張性を大幅に向上できた。 3、レスポンスアナライザにおける必須条件は、子機・親機間の安定したデータ収集である。データ収集の信頼度は通信方式に左右されがちである。そこで、データ通信の信頼度を実験的に評価するため、子機が生成する解答データの構成を{データの先頭を示す符号、子機の識別番号、解答選択番号、データの末尾を示す符号}とし、親機が各子機を順番にアクセスするポーリング方式を用いデータ収集後、未収拾の子機を再度アクセスする方式とした結果、改良の余地は残されているものの、ほぼ100%に近いデータを収集することができている。 4、上述のように無線方式のレスポンスアナライザに必要となるデータ収集機能に特化したプロトタイプを完成させた。残されている課題は信頼度100%のデータ収集、量産体制に向けた子機のハードウェア構成方法の見直しとアナログデータ収集機能の追加、レスポンスアナライザとして必要な各種機能の実現である。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方法) 1クラス40名程度を想定した複数の子機を試作し、これらと親機間の通信及びデータ分析の信頼度向上について評価実験を進める。親機の機能として、授業中にその場で必要な学習支援情報を収集できる機能や単元終了ごとの学習到達度分析機能など、必要な情報収集分析機能を実現する。ポーリング方式で子機を選択識別するためには、複数の子機に異なるシリアル番号をあらかじめ付加しておくことで、親機からシリアル番号を指定したコマンドを送信することにする。これにより複数の子機との通信を実用的時間内において実行可能と考えている。 次に、親機から行う子機の操作に必要となるコマンド操作画面表示、および回答分布表やSP表などの各種授業分析に必要な作表や作図機能など親機に備えるべき機能については、すべてExcel-VBA言語を用いて実現する。Excel-VBAは、表計算ソフトであるエクセルをインストール済みであれば、誰でも自由に使えるプログラム開発用言語である。例えば、子機からの回答データをセルに転送するごとに、リアルタイムに各種グラフをダイナミックに変化させることも可能で、データの解析をリアルタイムにかつ視覚的に行えるなど、多彩な機能を実現できるプログラム言語であることから、システムの実用化に大いに貢献できるものと考えている。本システムが完成すれば、新しい教育方法の開発に貢献できるものと確信している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B-A)欄が約47000円となっている理由は、研究成果発表の旅費を見込んでいたものの、地元開催の研究会に参加したので未使用のまま残ったものである。これについては、次年度の発表会旅費に充てる予定である。 消耗品費30万円は、1クラス40名程度を想定した複数の子機を試作するための電子部品の購入に充てるためのものである。
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