2012 Fiscal Year Research-status Report
知的障害のある学習者を支援する“アニマター機能”と新しい教科書アクセシビリティ
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24650576
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Research Institution | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
Principal Investigator |
棟方 哲弥 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 企画部, 総括研究員 (70229938)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 知的障害 / 教科書 / アクセシビリティ / パーソナルロボット |
Research Abstract |
本研究は、知的障害のある学習者のための新しい教科書アクセシビリティの提案を行うものである。これは「教科書は学習者が能動的に使うもの」という従来のパラダイムから離れ「能動的に学習者に向かい合う教科書」という新たなコンセプトの提案を目指している。本研究は2カ年の計画であり、本年度はその初年度にあたる。まず,これまでに提案されたデジタル教科書のアクセシビリティの内容について精査を行った。その結果、これらはウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン (WCAG) 2.0の「知覚可能」,「操作可能」,「理解可能」,「互換性・堅牢性」を枠組みに採用しているが、本研究が目指す「動機づけ」や「意欲を高める」機能を加える必要があると思われた。そこで改めて米国のCASTが提唱する「学びのユニバーサルデザイン」の「行動表出(Action & Expression)」と「取組(Engagement)」の原則の枠組みを援用し、知的障害教育分野における「動機づけ」や「意欲を高める」学習指導の先行例を参考にしながら、新しい教科書アクセシビリティの内容を検討し、これを「知的障害のある学習者のための新しい教科書アクセシビリティの提案」として電子情報通信学会教育工学研究会で報告した。また、これを実装するためのプラットホームに、日本電気株式会社製パーソナルロボットPaPeRo R500を採用した。このシステム開発については、本体機能、開発ソフトウェアの確認を行って、次年度の教科書・教材実装の準備段階に入っている。次年度は、教科書のコンテナとしてのパーソナルロボットの活用可能について実証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい教科書アクセシビリティの項目について提案を行うことができた。教科書のコンテナとなる装置について、既存のパーソナルロボットを導入することで、教育現場へ一定程度の汎用性が確保できた。教材の作り込み等が次年度の課題となるが、おおむね順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に提案した新しいアクセシビリティの枠組みに沿って、教材をシステムに作り込む。デジタル教科書のコンテナとなるシステムを既存のパーソナルロボットにしたため、プロトタイプの実証が行われれば、教育現場での幅広い実証実験に拡大して、知的障害教育の新たなツールとしての活用の範囲を広蹴ることにつながる。さらに、通常の学級での学級全体でパーソナルロボットをベースにした授業の提案へとつながる公算が大きい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
金額は2万7千円程度であり、おおむね当初の計画に基づいて執行するが、実証試験の旅費に組み入れて使用する予定である。
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