2012 Fiscal Year Research-status Report
ウラマーによる近代科学の受容とムスリム社会の史的構造:信仰と科学の現象学的社会学
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24650577
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿久津 正幸 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (10626188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学際的研究協力 |
Research Abstract |
イスラームの信仰上の伝統的価値観によって、必ずしも宗教的知識に限定されない、広く最新の現代的諸科学を教育あるいは修得し、それら専門的知識を社会において実践する知識人やその集団について調査を実施した。同時に、こうした調査を進めるなかで、宗教と密接な関係を持つ過去の文化的伝統が、社会的実践を促進させる事例はほかにも確認することができ、ムスリムの社会的実践として共通する姿勢として指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
医学や環境保全など、最先端の科学的知識によって、地域医療問題や都市環境の整備に取り組む活動について、インドネシアにおいて調査を実施した。その調査で判明した重要事項として、現代的課題に取り組む姿勢は、古くからのイスラーム的伝統に発していることが判明した。伝統文化を保持し、次世代に教育していこうとする姿勢こそが、時代に柔軟に対応しようとする科学的精神を寛容していることを確認することができた。こうした伝統的な宗教の価値観が、現代的社会に対応しようとする姿勢を促す事例については、インドネシアとトルコにおける事例をとりあげて、初年度は二つの論考を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
宗教と結びついた伝統文化を出発点として、最新の状況に対応しようとする、一見して矛盾すると思われる姿勢は、ムスリムたちの社会実践にとっては共通する要素であることを確認するために、パキスタン(ラブワ市)やエジプト(ミニヤ市)など、調査対象事例を拡大して、多角的に分析していく。同時に、共通する伝統文化を生み出す状況のなかで、宗教的信仰の革新的な部分まで踏み込んで指摘することをねらいとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の調査結果の公表手段としての国際会議での発表(10月、ワシントン)、パキスタンとエジプトの事例調査が、主要な研究費の用途となる。
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