2012 Fiscal Year Research-status Report
地理情報技術が人間の空間認知と空間的思考に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
24650604
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
若林 芳樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70191723)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村越 真 静岡大学, 教育学部, 教授 (30210032)
石川 徹 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (70436583)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 空間的思考 / 空間認知 / GIS / 地図 / 地理教育 / 地理情報技術 |
Research Abstract |
本研究課題の3つのサブテーマについて,平成24年度に行った研究の成果は以下の通りである。 1.学校教育での地図指導におけるGISの効果について:新旧の学習指導要領における地図やGIS利用の内容と変化について、関連する資料や文献をもとに整理した。その上で、大学入試問題における地図を用いた設問をとりあげ、解答の際の認知過程をプロトコル分析などによって検討した。その結果、地図の読図過程は設問によって異なり、地図記号の理解で解けるものから高度な空間的思考を要するものまで多様性があることがわかった。また、高等学校で地図学習のための独自の教材開発を行っている小林岳人氏を研究協力者に加えて、空間的思考と地図指導の関連性を検討する準備を行った。 2.日常の空間移動における地理情報技術の効果:日常生活での地理情報技術の効果を測る準備作業として、空間的思考力とその基礎となる空間的能力との関連性を検討した。その結果、空間的思考力には多様な側面があり、必ずしも空間的能力と相関するわけではないことが明らかになった。このため、地理情報技術が空間的思考に及ぼす効果も限定的であることが予想される。 3.学校教育と日常生活での空間的思考に対する地理情報技術の効果と相互の関連性:地理情報技術が空間的思考に与える効果を測るために、2種類の空間的思考力テストを作成した。1つは、学校教育の効果を試すための学力検査の一種で、もう一つは日常生活での経験を問う自己診断テストである。これらを同時に実施することで、学校教育と日常生活での空間的思考の関連性が明らかになると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間的思考の構成要素と体系について整理し、それに基づいて3つのサブテーマについて分担して作業を進めた。ただし、学校教育の効果は比較的捉えやすいものの、日常生活での効果については研究方法に改善を要する。また、地理空間技術の効果を測る際には、デバイスやソフトの操作性が影響しないような方法を工夫する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
3つのサブテーマについて、今後は以下のように研究を進めていく。 1.学校教育での地図指導におけるGISの効果について:高等学校の現場で、実際に地図教材を用いた学習が空間的思考に与える効果を実証的に明らかにする。また、新たにデジタル教材を用いて地理空間技術の効果を測る方法についても検討を加える。 2.日常の空間移動における地理情報技術の効果:空間的思考力の多元性をふまえて、日常生活での地理情報技術の利用がどのような側面に効果を及ぼすかを明らかにする。 3.学校教育と日常生活での空間的思考に対する地理情報技術の効果と相互の関連性:平成24年度に作成した空間的思考力テストは、その妥当性を確認するために、大学生に適用して問題点を洗い出し討し、改良を加える予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品を予定よりも安く抑えることができたため、平成24年度の予算で若干の繰越金が生じたが、これについては次年度の調査・実験のための資料作成に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)