2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650605
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
倉茂 好匡 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (20241383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80275156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 近過去 / 水質復元 / 堆積物柱状試料 / 年層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年に水質変化が著しい河川の湛水域に着目し、そこに堆積した堆積物の柱状試料中に吸着している化学物質濃度から、その河川水質変化の復元を試みるものである。そのためには、過去数十年にわたり水質測定がなされている河川の湛水域に注目し、ここの柱状試料中から年層を発見すること、また堆積物中に吸着している化学物質濃度と河川水の水質濃度を比較することが必須になる。 彦根市の北川河口域で採取した堆積物柱状試料より、過去19年の年層を認定することができた。すなわち、湛水した河口域で、代掻き時期に田から流出した泥のみが堆積する環境のところに、秋季の落ち葉が堆積する。この落ち葉の葉脈等が縞状に堆積している部分が秋季の堆積層である。 一方、この河川で彦根市が行った水質測定結果より、1990年代後半に北川水質の劇的な改善がなされたことがわかっている。そこで、この記録と、各年層の堆積物表面に吸着していた化学物質の濃度とを比較した。たとえば、河川水中の全リン濃度は、1990年代前半までは高濃度だったが、1990年代後半からは低濃度になった。ところが、堆積物に吸着している全リン濃度は、河川水の全リン濃度と有意な相関を示さなかった。一方、堆積物に吸着している他の化学物質濃度は、堆積物吸着全リン濃度と調和的変化を示した。このことは、堆積物に一旦吸着したのちに、当該化学物質が堆積物中を移動している可能性を示している。 これらの研究結果について、2014年12月にアメリカ合衆国で開催された国際会議において口頭発表することができた。また、この会議のプロシーディングに論文を掲載することができた。
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Research Products
(3 results)