2012 Fiscal Year Research-status Report
「地理の第1法則」を正しく検定する革新的な空間自己相関法の開発
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24650606
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岡部 篤行 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (10114050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 育穂 東京大学, 情報学環・情報学府, 准教授 (00594756)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 空間自己相関 / モラン / ローカル統計量 / グローバル統計量 / 統計的検定 / 組み合わせ法 / 第一種の過誤 / モンテカルロ |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の3つである。第1に、空間自己相関指標であるローカルとグローバルモランIを使ったランダム正規変数法とランダム組み合わせ法が、実際の実証データ分析で使われる各種条件(地区数、属性値が離散か連続か、どんな確率分布形かなど)に応じて、どの程度に誤った結論を導き出しているかを研究する。第2に、上記条件に応じて、正しい結論を導き出す空間自己相関の新たな統計的検定方法を開発する。第3に、新たな統計的検定方法を実装し、それを使用して、実際に使われる上記条件のもとで正しい結論を導き出すかどうかを実証的に検証する。本年度は、目的1の研究を行った。 教科書的には、変数がどんな分布形をしていようが、地区の数が多くなると、モランIは正規分布になるとされており、それに基づく検定ソフトウェアも多い。それが正しいかどうかをモンテカルロシミュレーションで確かめた。変数の分布形は、正規分布、ポアソン分布、対数正規分布に従う場合について調べ、また地区数については5000の場合まで調べた。その結果、地区数が5000と多くても、モランIの検定に使う裾の部分が正規分布とみなせるのは稀であることが判明した。特に変数が離散変数(ポアソン)の場合、正規分布からの乖離は深刻であることが判明した。これらの傾向は、解析のローカル・グローバルを問わずに見られた。従って、正規性を仮定した検定は、空間自己相関を過大評価しやすい (第1種の過誤が多い)ということが明らかになった。私たちが予想していたように、既存文献に多く見られモランIによる検定は、第1種の過誤をおかしている可能性が高いと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間自己相関指標であるローカルとグローバルモランIを使ったランダム正規変数法とランダム組み合わせ法が、実際の実証データ分析で使われる各種条件(地区数、属性値が離散か連続か、どんな確率分布形かなど)に応じて、どの程度に誤った結論を導き出しているかを研究するという第1の研究目的を、研究計画通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果をもとに、研究計画に記した第2の研究目的である正しい結論を導き出す空間自己相関の新たな統計的検定方法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究シミュレーションを行うコンピュータ関連の消耗品、ソフトウェア、シミュレーション結果のデータ整理のアルバイト費用、英文の校閲費、京都で行われるIGU国際学会での発表の旅費、ドイツのドレスデンでの学会発表の旅費に使用する。 なお、山田配分分の当該年度の研究費については、使用するソフトウェアのライセンス期間、研究発表に適した国際学会の時期の都合により未使用分が生じたが、上記のような目的で使用する。
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Research Products
(3 results)