2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24650607
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
谷口 真人 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (80227222)
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Keywords | フェノロジー / 地温 / 桜 / 地球温暖化 / ヒートアイランド |
Research Abstract |
本研究の目的は、地球環境変動とフェノロジー(生物季節)との関係を、サクラの開花時期と地温との関係から明らかにし、地下温暖化の影響がフェノロジーに与える影響を評価することである。今年度はサクラの開花に及ぼす地下温度の影響を明らかにするために、前年度に引き続き深度の異なる地温の連続測定を行い、サクラの開花のタイミングとの関係を調査解析した。前年度に行った調査に加えて今年度は、総合地球環境学研究所の敷地内の胸高直径・高さ・枝ぶりなどの似たサクラ3本を選定し、幹の根本から50cmの地点に深度50cm, 100cm, 150cmの3深度の地温と、気温を測定する熱電対を設置し、10分ごとの連続測定を行った。測定は現在も継続中であるが、毎月各深度のデーターを回収して、桜開花との関係性を解析中である。総合地球環境学研究所内で選定した3本の桜のうち、2本と残り一本の桜の開花時期に違いがあり、その開花の違いに地温の違いの影響が出ている可能性について検討中である。また、前年度に解析したサクラ開花の経年変動と地温との関係をより詳細に解明するために、大阪府内の地下温暖化の影響評価を行った。大阪都心部にみられるヒートアイランドの中心域での地下温暖化の影響は、サクラ開花の早期化のスピードの違いとして現れ、さらに緑地公園など土地利用の現在の状況ばかりでなく、土地利用の変遷の影響が表れていることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去に測定された全国の地温のデータと、桜の開花に関するデータを整理して、桜開花時期の早期化の地理的分の違いと、その早期化のスピードの違いを明らかにした。また、大気環境の状況がほぼ同じ同一地点における、地下環境の違いにより生じると考えられる桜開花の違いに関する実験に関しては、昨年度の観察を踏まえて、新たに観測地点を設け、同敷地内で開花時期の異なる桜の近くにおける地温の連続データの測定を開始した。前年度の成果である「気温以外の因子(地温)がサクラ開花に影響を与えている」ことに加え、今年度は、「サクラ開花に差がある同敷地内での地温の変化に違いがあること」が明らかになった。以上の点から、本研究はおおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策に関しては、各深度の地温の連続測定を継続するとともに、土壌水分の鉛直分布など他の因子に関しての調査を追加予定である。また、日本でのサクラ開花と地温の関係のほかに、台湾など他地域でのサクラの開化と地温の関係についても、引き続きデータ収集と解析を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費の節約による。 追加・補完的な調査旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)