2012 Fiscal Year Annual Research Report
放射線療法、化学療法によるゲノム異常と遺伝的影響に関する検討
Project/Area Number |
24650612
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上松瀬 新 広島大学, 病院, 病院助教 (90569881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
上田 祐華 広島大学, 病院, 医科診療医 (70624641)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 遺伝学 / ゲノム / 放射線 / 癌 / 発生・分化 |
Research Abstract |
1980年以降小児がん治療を行った患者のうち、同意を得てゲノム(血液検体)を保存し得た症例のうち、小児がんが治癒し、その後フォローアップ中に次世代の児を持ちえた26組(神経芽腫9例、腎芽腫5例、肝芽腫3例、悪性リンパ腫4例、横紋筋肉腫2例、悪性胚細胞腫1例、その他2例)を用いて以下の検討を行った。全例が化学療法を、20例が放射線療法を受けていた。他家骨髄移植例は除いた。治療前後のゲノム解析:高密度100万個以上のマーカーが搭載されたSNPアレイを用いて、小児がん経験者の治療前と治療後(現在)のゲノムについて比較解析した。 また、ゲノム上に存在する反復配列であるミニサテライト、マイクロサテライトマーカー48箇所を用いて、その反復配列の差異の検討も加えた。その結果全例にゲノム上に21~2,754(平均476)箇所におよぶSNPまたはコピー数の変化を認めた。放射線治療を受けた患者に変化した箇所が多い傾向を認めたが変化した部位についての共通性は見いだせなかった。マイクロサテライトマーカー変異を2例に見出したがこれらの症例は放射線療法を受けた症例であった。小児がん治療を受けた小児がん経験者の児、さらに可能であれば経験者の配偶者の解析では、児のゲノムを同様のプラットフォームにて解析しえた症例は22組で、そのうち配偶者のゲノムも解析可能であったのは16例であった。1.で認められた異常を中心に解析し、児に変異が伝番しているのは3例で、このうち1例はマイクロサテライト変異も伝搬していた。ゲノムの変異についは化学療法ではアンソラサイクリン系薬剤と放射線療法が関連し、伝搬した3例はいずれも女性の経験者であった。以上から、小児がん治療にて得たゲノムの変化の一部は次世代に移行することが示された。
|
Research Products
(18 results)