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2012 Fiscal Year Research-status Report

細胞分裂期に作用する抗がん剤に対する耐性克服のための基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 24650616
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

田中 耕三  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00304452)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsがん治療 / 抗がん剤耐性 / 細胞死 / 細胞周期
Research Abstract

本研究は、抗がん剤により細胞周期停止が持続した後に細胞死が起こる機構を明らかにし、細胞死が起きるタイミングに関与する分子を同定することを目的とする。このような分子は、個々のがん症例での抗がん剤感受性の予測や、より有効な抗がん剤治療のターゲットとなるものと考えられる。平成24年度は、アポトーシスの制御に関係するBcl-2ファミリー分子Mcl-1と新規分子CAMPの関係の解析を行った。
1.細胞周期停止による細胞死とCAMPとの関係の検討
CAMPノックダウン細胞を微小管阻害剤であるtaxolで処理し、ライブセルイメージングで観察したところ、細胞周期停止持続後の細胞死の促進が観察された。染色体分配に関与するch-TOGなど他の分子のノックダウンでは、細胞死の促進は観察されなかった。またWI-38などの正常線維芽細胞では、CAMPノックダウンによる細胞死の促進は見られなかった。これらのことから、CAMPの抑制は、がん細胞特異的に細胞周期停止持続後の細胞死を促進することがわかった。また個体および細胞レベルでのCAMPの機能を明らかにするために、CAMPノックアウトマウスの作製を進め、ヘテロノックアウトマウスが得られた。
CAMPのどの領域が細胞死と関連しているかを調べるために、CAMPの種々の欠失変異体を発現させてtaxolによる細胞死を観察したところ、N末端側の領域で細胞死の遅延が認められた。
2.CAMPとMcl-1の関係の検討
CAMPをノックダウンした細胞でMcl-1の発現を調べたところ、著明な発現の低下が認められた。またほかのBcl-2ファミリー分子であるBcl-xLについても発現が低下していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

CAMPの抑制が、細胞周期停止持続後の細胞死を促進することを確認した。またこの効果ががん細胞特異的に見られることを明らかにした。この細胞死の促進にはCAMPのN末端側の領域が関係していることがわかった。CAMPノックアウトマウスの作製は順調に進んでいる。またCAMPをノックダウンした細胞では、Bcl-2ファミリー分子であるMcl-1およびBcl-xLの発現の低下が認められた。このように、平成24年度の計画をほぼ達成しており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画通り、CAMPおよびMcl-1と結合する分子を探索し、その中から細胞死のタイミングに関係するものを同定する。これらの分子間の関係を明らかにすることにより、どのようにして細胞死のタイミングが制御されているのかを明らかにする。
本研究の成果は、抗がん剤への感受性の予測や、耐性の起こりにくいがん治療の開発につながると考えられるため、臨床への応用に向けた基礎検討を行う。まず種々のがん細胞株でのCAMPの発現量を調べ、抗がん剤への感受性との相関を調べる。またCAMPの抑制による細胞死の促進を多数のがん細胞株で検討し、その効果の一般性・特異性を調べる。さらにCAMPをノックダウンしたがん細胞をマウスに移植し、その増殖や抗がん剤に対する感受性を検討する。一方CAMPノックアウトマウスを作製し、個体レベルおよび細胞レベルでのCAMPノックアウトの影響を調べる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初の予定より効率よく実験を進めることができたため、物品費を計画より少なく抑えることができた。また本研究の成果を特許として申請することを検討しているため、学会発表の予定をとりやめた結果、旅費の支出がなかった。
以上の理由により生じた平成25年度に使用する予定の研究費は、平成25年度に請求する研究費と合わせて、細胞死のタイミングを制御する分子の探索に使用する。CAMPやMcl-1等と結合する分子を質量分析によって解析するのに多額の費用を要することが予想されるため、当該研究費をその費用に充当する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Regulatory mechanisms of kinetochore-microtubule interaction in mitosis2013

    • Author(s)
      田中耕三
    • Journal Title

      Cellular and Molecular Life Sciences

      Volume: 70巻 Pages: 559-579

    • DOI

      10.1007/s00018-012-1057-7

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 染色体分配を司る動原体と微小管の相互作用2013

    • Author(s)
      田中 耕三
    • Journal Title

      細胞工学

      Volume: 32 Pages: 291-296

  • [Journal Article] Dynamic regulation of kinetochore-microtubule interaction during mitosis2012

    • Author(s)
      田中耕三
    • Journal Title

      Journal of Biochemistry

      Volume: 152巻 Pages: 415-424

    • DOI

      10.1093/jb/mvs109

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 染色体分配の分子機構と関連分子を標的としたがん治療への展望2012

    • Author(s)
      田中 耕三
    • Journal Title

      実験医学

      Volume: 30 Pages: 3118-3124

  • [Remarks] 田中耕三研究室 Department of Molecular Oncology

    • URL

      http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/molonc/index.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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