2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂期に作用する抗がん剤に対する耐性克服のための基礎的研究
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24650616
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 耕三 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00304452)
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Keywords | がん治療 / 抗がん剤耐性 / 細胞死 / 細胞周期 |
Research Abstract |
本研究は、抗がん剤により細胞周期停止が持続した後に細胞死が起こる機構を明らかにし、細胞死が起きるタイミングに関与する分子を同定することを目的とする。このような分子は、個々のがん症例での抗がん剤感受性の予測や、より有効な抗がん剤治療のターゲットとなるものと考えられる。平成25年度は、以下のような解析を行った。 1.細胞周期停止による細胞死とCAMPとの関係の検討 多種類のがん細胞株を複数の分裂期にはたらく抗がん剤(タキソール、ビンクリスチン)で処理し、ライブ観察に代わる簡便な方法としてMTTアッセイにより評価した。その結果ほとんどのがん細胞株でCAMPノックダウンによる細胞死の促進が観察された。一方多くの正常線維芽細胞では、CAMPノックダウンによる細胞死の促進は見られなかった。検討した細胞株についてCAMPの発現量を調べたところ、がん細胞株で発現が高い傾向が見られ、がん細胞の生存がCAMPに依存している可能性が考えられた。また個体および細胞レベルでのCAMPの機能を明らかにするためにCAMPノックアウトマウスの作製を試みたところ、胎生致死であることが判明し、現在致死となる原因を解析している。 2.細胞周期停止による細胞死に関与する分子ネットワークの解析 CAMPと結合する分子としてHP1 (heterochromatin protein 1)が同定され、現在その意義について解析している。 3.細胞死のタイミングを決定するしくみの解析 HeLa細胞とMCF-7細胞でCAMPをノックダウンした細胞でのBcl-2ファミリーの発現を調べたところ、Mcl-1とBcl-xLの発現の低下が認められた。 4.CAMPノックダウンによる抗がん剤の増強効果の解析 HeLa細胞とA549細胞を用いてヌードマウスでの造腫瘍効果を調べる条件を確立し、CAMPノックダウンの効果を検討中である。
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Research Products
(5 results)