2013 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるPERKシグナル伝達経路の役割解明と治療への応用
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24650626
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
冨田 章弘 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター ゲノム研究部, 部長 (40251483)
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Keywords | UPR / 小胞体ストレス / がん / PERK / グルコース飢餓 / 低酸素 |
Research Abstract |
UPR(unfolded protein response)は、がん細胞が特殊な腫瘍内環境に適応し、生存増殖するのに重要な役割を果たしている。本研究では、UPR制御において中心的役割を果たすPERKや、我々の見出してきたTBL2といったPERKシグナル伝達経路の制御分子に焦点を当て、これらの機能阻害を通じ、PERKシグナル伝達経路の腫瘍内環境適応における役割を明らかにする。また、PERKやTBL2の機能阻害を誘導した際に、合成致死を引き起こす因子・阻害剤の探索を行う。当該年度は、平成24年度に引き続き、PERKならびにTBL2の安定ノックダウン細胞のゼノグラフトにおける遺伝子発現解析を進めた。786-O細胞を用い、親株ならびに樹立したPERKならびにTBL2のノックダウン細胞株をヌードマウスに移植し、ゼノグラフト形成について検討したところ、造腫瘍性に有意な違いは認められなかった。しかしながら、形成させたゼノグラフトを採取し、採取したゼノグラフトよりRNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を行ったところ、対照細胞とは異なる発現パターンとなる遺伝子群が存在することが明らかになった。興味深いことに、PERKならびにTBL2のノックダウン細胞株で共通して変化する遺伝子群も存在し、TBL2がPERKシグナル伝達経路に関与することが改めて示唆された。また、樹立したノックダウン細胞株を用いるなどによって、PERKシグナル伝達経路の機能阻害条件下で、合成致死作用を有する因子の探索に着手した。従来の抗がん剤等について検討したところでは、PERKやTBL2のノックダウンで感受性の変化するものは見出せなかった。これに関連して、H26年度に予定しているmiRNA阻害剤ライブラリーを用いた探索を進めるため、探索条件の検討など予備的な実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、UPR制御において中心的役割を果たすPERKや、我々の見出してきたTBL2といったPERKシグナル伝達経路の制御分子に焦点を当て、これらの機能阻害を通じ、PERKシグナル伝達経路の腫瘍内環境適応における役割を明らかにすることを第一の目的としている。当該年度では、ゼノグラフトにおける遺伝子発現解析によって、PERKやTBL2のノックダウンの影響が検出された。今後、バイオインフォマティクス的な検討を鋭意進める必要があるものと考えている。また、当該年度では、PERKシグナル伝達経路阻害と合成致死を誘導する因子の探索に着手した。次年度以降も、引き続き、樹立したPERKやTBL2のノックダウン細胞株等を用い、新たな情報を取り入れ、探索研究を続行する必要があるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は3年間の計画で第2年次終了時点であり、研究はおおむね順調に進み、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題はないものと考えている。第3年次においては、これまでに樹立したPERKやTBL2のノックダウン細胞株等を用いて、これまでに得た成果を基盤として研究を続行し、PERKシグナル伝達経路を標的とした治療戦略の考案を目指す。
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Research Products
(5 results)