2012 Fiscal Year Research-status Report
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24650631
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
土屋 弘行 金沢大学, 医学系, 教授 (40227434)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 免疫 |
Research Abstract |
①臨床において樹状細胞療法の安全性と液体窒素処理骨移植術と樹状細胞療法の併用療法 申請者らはでヒト樹状細胞は末梢血単核細胞をGM-CSF+IL-4の培養液で7日間培養することで分化誘導できる(Nakamoto Y et al. Clin. Exp. Immuno. 2006)。現在、標準治療抵抗性の悪性骨軟部腫瘍患者に対し樹状細胞療法による臨床試験(第1相臨床試験)を本学倫理委員会承認のもと遂行している。プライマリーエンドポイントとして「樹状細胞療法の皮内投与の安全性」セカンダリーエンドポイントを①免疫学的反応(DTH、サイトカイン)② 腫瘍局所効果判定、③生存率として平成24年度に完遂予定であった。現在、平成24年度で本臨床試験のエントリーは終了、合計25症例の治療を行いことができた。プライマリーエンドポイントではgrade 3以上の有害事象は今のところ認められていない。現在腫瘍局所効果判定および生存率を観察中である。 ②TNF-αを併用した凍結免疫療法を行い、免疫活性の増大を観察 In vivoでの実験と並行して、臨床応用をめざし、上記の樹状細胞培養時にTNF-αを併用する方法を確認中である。これまでの樹状細胞療法では、腫瘍破砕物質を感作させても十分な成熟を得ることができなかった。そこで末梢血単核球を分離したのちにG-CSF,IL-4下でDCmediumを用いて5日間培養したのち、腫瘍抗原としてtumor lysateを1日感作させ、さらにTNF-αを加えて1日培養を行い成熟樹状細胞を回収した。flow cytometryでCD80,CD83,CD86の表面抗体を測定すると、約2倍の成熟度の増大が認められた。これらの細胞を用いて新たな凍結免疫療法を今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト樹状細胞療法の第1相試験は予定通り、本年度でエントリーが終了した。これまでに25症例が登録しており、今後臨床効果、生存率を測定している。これらの研究はもともと実行されていた臨床試験でありスムーズに行うことができた。また、樹状細胞のより成熟度を得られるためにTNF-αを加える方法に関しても、基礎実験で充分成熟度の上昇を確認しており、予定通り今後の研究に発展させる予定である。 動物実験においてTNF-αを併用した樹状細胞の分化の結果は、前述のごとく人においてある程度データが得られつつあり。したがってヒト樹状細胞を用いたTNF-αを使用した培養法の確立を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①臨床において樹状細胞療法の安全性と液体窒素処理骨移植術と樹状細胞療法の併用療法 平成23年度の悪性骨軟部腫瘍に対する樹状細胞療法の安全性試験を受けて、悪性骨腫瘍に対し液体窒素処理骨移植術による再建術を受ける患者の臨床試験を計画する。その前に樹状細胞の培養でTNF-αを併用することでより成熟度を上げた樹状細胞を作成してこれに対する安全性試験を行っていく。そののちに術前1週間前より樹状細胞を分化誘導させ、術中腫瘍組織の凍結処理に投与する液体窒素処理骨移植術と樹状細胞療法の併用療法の臨床試験(第1相臨床試験)を申請する。プライマリーエンドポイントとして本試験の安全性、セカンダリーエンドポイントを①免疫学的反応(DTH、サイトカイン)② 腫瘍局所効果判定、③生存率とする。 ②①動物モデルで腫瘍の液体窒素による凍結処理に樹状細胞療法とTNF-αを併用した凍結免疫療法を行い、免疫活性の増大と転移の抑制を観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
樹状細胞の評価に用いる分子生物学試薬(各種抗体など)と培養に用いるサイトカイン、培養液に必要であり、計画通りの使用計画である。物品の関係で少額の残金(285円)を認め繰越金となった。
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