2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24650635
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
川島 洋人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (60381331)
|
Keywords | 腫瘍診断学 / 呼気診断 / 揮発性有機化合物 / 安定同位体比 / 加熱濃縮器 |
Research Abstract |
平成25年度は実際の人の生活状況を考慮に入れた呼気中のVOCsの測定結果をさらに考察し,大気中低濃度域のVOCsの炭素安定同位体比の高精度測定法の開発を行った。 呼気の測定においては,既往研究(Phillips, 1996)の測定基準では,呼気捕集前に7~12時間の絶食の必要性が示されているが,本研究の結果では長時間の飲食の制限は必要がないと推察された。また,煙草を吸わない一般の人と喫煙者を比較し,喫煙による呼気への影響から,喫煙者への制限を考察することができた。喫煙者の呼気中のベンゼンは,喫煙後から時間が経つにつれて減少傾向にあることが分かり,約6時間の経過で喫煙者の値は一般の値まで減少することが分かった。既往研究(Phillips, 2012)では,肺がん患者の呼気中のベンゼンは,一般の呼気より高濃度で検出されると示しているため,肺がんと喫煙者を判別しやすくするために,喫煙者の場合,一定時間(本研究としては6時間以上)経過してから呼気を捕集する必要があると考えられた。そして,喫煙者の中でも,煙草の種類によって変化があることが分かった。普通煙草とメンソール煙草の2種類に分類した時,メンソール煙草の喫煙者の呼気から,ベンゼンやトルエンが高く検出された。メンソール系煙草やタール数の高い煙草での喫煙者は,呼気の捕集の際に,特に注意すべきであると考えられた。 また,VOCs中炭素安定同位体比の高精度分析法の結果では,加熱濃縮器を利用することで高精度分析が可能になった。これらの結果は国際学術雑誌のAtmospheric Environment誌に報告することが出来た。
|