2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞分泌ナノベシクルのプロテオミクスと画期的診断法開発の試み
Project/Area Number |
24650641
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
角田 慎一 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー (90357533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 癌 / 生体分子 / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究は、がん細胞分泌ナノベシクル(Exosome)上の新規バイオマーカーを探索・同定することにより、がんの早期診断・悪性度診断・治療薬決定診断を可能とする革新的診断法の開発に挑戦するものである。これまで、プロテオミクス等によるがん血液診断のためのバイオマーカータンパク質の探索が世界規模で取り組まれてきたものの、血液中に存在するがん関連タンパク質は量的ダイナミックレンジが大きすぎることなどから、有用な分子は見出されていない。そこで本申請研究は、細胞から分泌・放出されることが近年明らかになってきた約百ナノメートル径の小胞である”Exosome”に着目し、Exosomeに含まれるがんマーカータンパク質にフォーカスした新規プロテオミクスでブレークスルーを図る。 本年度、がん細胞由来Exosomeをターゲットとした革新的診断法の開発を念頭に、Exosomeの高純度・効率的回収法、及びその膜タンパク質の高感度解析法の確立・最適化、さらに、各種がん細胞株由来Exosome上のマーカータンパク質同定を試みた。まず、Exosomeの高純度・効率的な回収法を探るべく、超遠心法に着目し、培養がん細胞からexosomeを回収した。電子顕微鏡観察、動的光散乱法による粒子径測定、マーカーとされるテトラスパンニン分子の発現解析の結果、確かにexosomeが高純度で回収できていることが確認できた。さらに、exosomeからたんぱく質を回収し、質量分析法により発現たんぱく質を解析した。その結果、複数のがん関連膜タンパク質が同定できた。 以上の検討から、がん細胞分泌exosome上には、がん関連膜たんぱく質などが含まれることが判明した。今後は、がん組織から分泌されるexosomeを血液中から効率よく回収し、そのマーカーたんぱく質解析できるかどうかを調べ、診断法への応用の可能性を検証する予定である。
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Research Products
(4 results)