2012 Fiscal Year Research-status Report
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24650642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石岡 千加史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60241577)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 変異p53 / 合成致死 |
Research Abstract |
この研究は、変異p53特異的に細胞死を引き起こす標的分子を発見することが目的である。想定される新規標的分子は、特定変異p53を発現するがん細胞特異的(正常細胞に発現なし)であると同時に、同じ特定変異p53を発現する他臓器のがんにも有効で(臓器横断的で、全癌の約5%が対象)、成功すれば新規の創薬シーズに繋がり、新しいがん薬物療法開拓に貢献できる。平成24年度は、変異p53(ヒト悪性腫瘍で高頻度変異であるR175H, R248W, R273H)を誘導発現するSF126細胞(ヒト神経膠芽腫由来でp53欠失)・変異p53発現誘導株(テトラサイクリンONで発現誘導できる)に対してレンチウイルスshRNAライブラリーにより網羅的に遺伝子発現をノックダウンし、バーコードマイクロアレイでのスクリーニングを行い、R175H変異p53特異的細胞死遺伝子としての候補遺伝子を複数発見した。個々の候補遺伝子に対応するsiRNAを導入し、真に変異p53特異的に細胞死を引き起こす遺伝子を選択した。得られた変異p53特異的細胞死遺伝子うち、ID1遺伝子は変異p53を自然に発現する他の培養細胞でも細胞死を変異p53(R175H, R248W, R273H)特異的に引き起こすことを検証した。R175H変異p53特異的な細胞死遺伝子のノックダウンがタンパク質発現抑制によって生じ、変異p53非発現時には起きないことを検証(proof of concept)した。現在、論文を作成して投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト悪性腫瘍で最も変異頻度が高いR175H変異p53特異的に細胞死を引き起こす遺伝子を1つ発見した(ID1遺伝子)。最初の当初の研究計画よりも早く結果を得たが、複数の発見と検証には至らなかった。研究目標は概ね達成しているが、次年度にはさらに新たな合成致死遺伝子の発見に努めることが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、原理の証明(proof of concept)のための実験を行う。具体的には、変異p53特異的な細胞死遺伝子(上記)について、既知の遺伝子の場合はその発現とsiRNAによる発現ノックダウンをウェスタンブロットで確認する。抗体がない遺伝子産物の場合は転写レベルで測定する。機能が未知の遺伝子の場合は、機能解明のための研究移行を検討する。具体的には、網羅的遺伝子発現解析、in silico pathway finding、ホモロジーサーチによる構造・機能予測、p53関連タンパク質の機能関与の解析などを行う予定である。また、他の変異p53に対する効果の検索も実施し、変異p53特異的な分子治療法開発のための基礎的データを積み重ねる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B-A)50,605円は物品費(実験の消耗品)に使用予定である。
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