2012 Fiscal Year Research-status Report
三酸素同位体組成を指標に用いた陸水環境中の硝酸の総同化速度定量法開発
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24651002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
角皆 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50313367)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 三酸素同位体 / 湖沼 / 硝酸 / 大気沈着 / 同化速度 |
Research Abstract |
支笏湖および倶多楽湖においては初夏と晩夏の二回分、また十和田湖で晩夏の一回分の解析を終えた。また琵琶湖では平成24年度末に初春の観測を行った。最深点直上を観測点として、表層は5から20m間隔、深層は25から50m間隔で最深層まで湖水を各層採水するともに、CTD計やクロロフィル計、溶存酸素計等を用いた機器観測も同時に行った。また支笏湖と琵琶湖に関しては、流入・流出河川についても、同時に解析を行った。NO3-等の栄養塩分析用試料については、採取後ただちに湖畔で濾過作業を行い、冷蔵保存した。また濾紙も回収し、粒子状有機体窒素(PON)等の分析に供した。また培養用試料には湖畔でただちに15Nトレーサーを適量添加し、光量調整用の袋に入れて、湖畔の湖水中で最大24時間の培養を行った。培養は15NO3-添加区画に加えて、15NH4+添加、さらに無添加の各区画も作成し、同時に培養した。培養終了後ただちに濾過作業を行ってPONを濾紙上に回収した。 支笏湖および倶多楽湖における解析から、湖内に存在するNO3-のΔ17O値の平均値は、その系に対して系外から大気沈着を経て供給されるNO3-と、系内の硝化を経て供給されるNO3-の供給速度比を反映することが証明され、各湖沼におけるNO3-の総同化速度を、簡便かつ高確度に定量することが出来た。また従来法である培養法に基づくNO3-同化速度も同時に観測して比較し、従来法との整合性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
十和田湖を除いて当初予定の観測を終え、また主要な分析を終えた。また当初予定では平成25年度に実施予定だった琵琶湖の観測を、平成24年度中から開始することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度3月に観測を開始した滋賀県の琵琶湖で、前年度と同様の観測・分析・解析を行う。但し琵琶湖では水平方向にも大きな不均一が存在することが予想されるため、北湖3点と南湖1点の計4測点において各層採水観測を行い、これを元に湖水の加重平均Δ17O値や、総NO3-量の算出を行う。また流入・流出河川の数も膨大であるため、代表的な20程度の河川を選んで採水を行う。湖水の採水観測は、京都大学生態学研究センターの共同利用を利用する予定で、既に6月および8月分の観測を申請済みである。さらに結果の解析に際して、琵琶湖では同化に加えて、脱窒でNO3-が湖水中から除去されている可能性があるため、この点に関しても、評価を行う。 なお、琵琶湖は初年度の湖沼に比べてNO3-濃度は高く、また総一次生産量も大きい。湖水NO3-のΔ17O値は、初年度の各湖沼に比べて、格段に小さい可能性がある。そこで琵琶湖では、同一の湖水試料に対して、NO3-のN2O化と、そのΔ17O値測定を多数回繰り返し、測定精度を向上させる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新製品の発売予定に伴い前年度に購入を保留した溶存酸素計を購入し、観測に活用する。また琵琶湖を中心とした観測の旅費、試料採取や分析に必要な消耗品費に充てる。
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Research Products
(8 results)