2012 Fiscal Year Research-status Report
深海底堆積物に残存する化石DNAによる古生態系復元の試み
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24651005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 庸平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00359168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 日本海 / 深海堆積物 / 化石DNA / 遺伝子配列決定 / DNA抽出法 / 古環境 / 古生態系 |
Research Abstract |
南太平洋環流下の深海堆積物(IODP Esp.329にて採取)を用いて化石DNAの抽出法の検討を行った結果、複数の堆積物試料から化石DNAを取得することに成功し、DNAの起源生物の同定により、化石由来と考えられる珪藻やカビ等を検出する事に成功した(H24年度7月時点)。しかし、手法と結果の信頼性を確認するために、再度、同じ堆積物試料を用いて、化石DNAの抽出・分析を行ったところ、当初、得られていた結果を再現する事が出来なかった。再現性が取れない原因を調べた結果、堆積物試料および抽出したDNA試料の劣化等しているため、再び化石DNAを取得する事は困難であると判断された。 本研究では、南太平洋の代わりに、古環境復元の研究に適しているとされる日本海の深海堆積物(日本海東縁ガスハイドレート調査MD179にて採取)を用いて、再び化石DNA抽出の検討を行った。化石DNAの抽出方法の検討を行う際には、①試料が汚染されていないか、②掘削からDNA抽出まで品質が管理されているか、③抽出後のDNA試料の品質管理に注意を払った。結果、海底下30メートルの堆積物(約10万年前に堆積)から「再現性」のある化石DNAの抽出に成功した。抽出した化石DNAを分析(配列決定)し、起源生物を調べた結果、生体化石としても分析されている海洋性プランクトンの珪藻や放散虫の他、陸上の植物が含まれている事が判明した。 日本海の深海堆積物を用いて、①再現性のある化石DNAの取得が可能である事、②化石由来と考えられる生物種のDNAが検出された事から、本研究を発展させることで、過去の生態系復元や古環境復元に化石DNAが利用可能になる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由:平成24年度「海洋堆積物中の化石 DNA 抽出法および包括的解析法の確立」を南太平洋環流下の深海堆積物を用いて実施し、当初は化石DNAを取得することに成功していたが、再度、同試料を用いて化石DNAの抽出を実施したところ、結果を再現する事ができないという問題が起きた。再現性が取れない原因を追求するために行った再現性実験によって、平成24年度の実施計画に遅れが生じた。 現在、南太平洋の代わりに、日本海の深海堆積物から得た海底下30メートルの堆積物試料(約10万年前に堆積)を用いて、「再現性」のある化石DNAの抽出が可能である事を確認している。また、抽出した化石DNAの起源生物を調べ、化石由来と考えられる生物種のDNAが検出されていることを確認し、日本海深海堆積物を用いて「化石DNA解析による、過去の生態系復元が可能」である可能性を示し、おおかた計画の遅れは取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度に実施できなかった「DNA の包括的解析手法の確立」を日本海深海堆積物を用いて行い、H25年度の研究計画である「DNA 配列に基づく起源生物の特定」、「生体化石との比較」、「古生態系の復元」を実施する。また、研究計画の遅れは、実験補助員等の起用によって取り戻す。 (1)日本海深海堆積物を用いて「DNA の包括的解析手法の確立」として、最適条件で抽出した DNA を対象に、起源生物の多様性について包括的に解析が可能な手法の確立 を行う。 (2)「DNA の包括的解析手法の確立」によって、抽出された化石 DNAを対象に、「DNA 配列に基づく起源生物の特定(PCR →ライゲーション→クローニング→塩基配列の決定→起源生物種と産地の特定)」を行う。 (3) 「DNA 配列に基づく起源生物の特定」の結果を、従来の形態により分類された「生体化石の情報と比較」して、化石DNA からのみ取得される古生態系を復元する上で鍵となる情報の有無を結論付ける。 (4) 連続コア試料を分析して、環境変動に呼応した古生態系の変化が化石 DNA に記録されているか明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は、遅れを取り戻すために実験補助員を雇用する。研究用試薬や消耗品の購入に加えて、成果公表のための学会発表や論文投稿を促進するために使用する。
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