2012 Fiscal Year Research-status Report
下水マーカーを用いた都市地下水汚染の高感度検出と汚染源特定
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24651007
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高田 秀重 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70187970)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マーカー / アセスルファム / 地下水汚染 |
Research Abstract |
合成甘味料は高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて分離し、タンデム質量分析計で検出が行われている。本研究ではHPLCのカラムの検討、溶離液のグラジエント、タンデム質量分析計の条件(イオン化電圧、シースガス圧等)の検討により、感度の向上を図った。その結果、定量限界濃度を0.03ng/Lまで下げることができた。下水処理水を採取して検討・確立した方法により合成甘味料の分析を行った。方法は、解凍した試料に、同位体ラベル合成甘味料を回収率補正用内部標準物質(surrogate)として添加し、500µLをオンライン濃縮装置付き高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(サーモ社製)に注入し、分析した。合成甘味料の定量はSRMモードで、特定の親イオンの解裂に特有なプロダクトイオンの面積値より計算した。いずれの対象成分もsurrogateにより、回収率とマトリクス効果の補正を行った。 下水処理水中からアセスルファムとスクラロースが数~数十µg/Lのオーダーで検出された。チクロとサッカリンはそれより2桁低い濃度で検出される場合があった。安定して高濃度で検出され、高感度で測定可能なアセスルファムについて、下水処理水中の濃度(平均24000 ng/L)をトラベルブランクから計算した定量限界濃度(0.03ng/L)で割り算し、検出可能な下水希釈率を計算した。その結果、本法により、0.0001%の下水の地下水への混入が検知できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は分析法の高感度化に時間を費やした。最終的には高感度な分析法を確立することができた。年度末に分析法の確立ができたが、実際の地下水試料の分析には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに確立した分析法を用いて、多数の試料の分析を行う予定である。 東京都内100地点で地下水(井戸水、湧水)試料を採取する予定である。井戸水は、中央区、墨田区、台東区、荒川区、豊島区、練馬区、杉並区、西東京市、国分寺市、府中市で計70地点、湧水は国分寺市、日野市、府中市、調布市、小金井市、昭島市、世田谷区で計30地点より採取する予定である。採取した試料を確立した高感度分析法で分析する。 分析結果に基づき、地下水の下水汚染機構の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析消耗品に100万円使用する、多数の試料の分析により発生する膨大なデータを処理するために、パソコンを購入する(30万円)。分析機器のメインテナンスを行う人員を雇用するための費用に40万円を使用する。研究成果を国際誌に投稿するために英文校閲費として10万円を使用する。
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