2013 Fiscal Year Annual Research Report
下水マーカーを用いた都市地下水汚染の高感度検出と汚染源特定
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24651007
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高田 秀重 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70187970)
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Keywords | 下水マーカー / 合成甘味料 / PPCPs / 地下水 / 浅井戸 / 深井戸 / 湧水 |
Research Abstract |
今年度の研究は2つの調査から構成される。はじめに、東京都内70地点で井戸水と湧水を採取した。井戸水と湧水中の合成甘味料6種を前年度に開発・確立した方法で高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計を用いて、分析した。調査した湧水27地点中23地点から、井戸水43地点中29地点地点から、下水マーカーのアセスルファムが検出された。地下水への下水の混入が広範囲で起こっていることが確認された。湧水、井戸水中のアセスルファム濃度の中央値(284 ng/L, 62 ng/L)と下水中のアセスルファム濃度(24000 ng/L)から、湧水、井戸水へ下水の混入率は、それぞれ1.2 %, 0.3 %と計算された。井戸の深さとアセスルファム濃度の関係を検討した結果、アセスルファムは湧水と深度60m以浅の井戸から検出され、深度100m以深の井戸からは検出されなかった。地下深部への下水の混入が進んでいないことが示唆された。台東区の深度100mの井戸(被圧地下水)からはアセスルファムは検出されなかったが、シクラメートが1300 ng/Lで検出された。シクラメートは1969年に使用禁止になった合成甘味料で、現在では下水からは微量にしか検出されない。この台東区の井戸水は1960年代に混入した下水の寄与があると推察された。 そこで、台東区についてさらに密に浅井戸(35地点)と深井戸(13地点)の水を採取し、合成甘味料の分析を行った。浅井戸からはアセスルファムが検出され、深井戸からはシクラメートが広く検出され、地下水への下水の混入が広く起こっていることが確認された。都内の地下水の流動なども考慮すると、台東区の深井戸で検出されたシクラメートは1960年代に台東区よりも西部の地域(多摩地区等)で地下へ浸透した下水が数十年かけて東の深層に移動してきたものと推察された。
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Research Products
(1 results)