2014 Fiscal Year Annual Research Report
海塩粒子エアロゾル中のジカルボン酸と海水表面を覆う薄い有機膜との関係
Project/Area Number |
24651013
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 雄光 琉球大学, 理学部, 教授 (80343375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海水表面 / 活性酸素 / 鉄 / 光化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
海水表面は、厚さが50~1000μm程度の非常に薄い有機物の膜(Sea Surface Microlayer:以下SMLと略す)で覆われている。SMLは、大気-海水間の化学物質の移動を制御し、さらに、海表面で波が砕ける際に発生する海塩粒子エアロゾルの化学組成及び粒径に大きく影響する。そこで、本研究では、まず、有機物の中でもジカルボン酸に着目し、その挙動および発生メカニズムを解明することを目指した。さらに、海水中で有機物の寿命や反応を支配するOHラジカルにも注目し、その発生メカニズムに関して研究を行った。 研究の結果、まず、SMLとそれ以下のバルク海水中の吸光度および有機炭素濃度(TOC)を測定した結果、SML中でそれぞれ約1.3から2倍高いことを明らかにした。次に、SMLおよびバルク海水ジカルボン酸を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、検出する方法について諸条件を変えながら検討したが、海水に多く含まれる塩分によって、大きな妨害を受けるため、前処理法の検討が必要であることが明らかとなった。 ジカルボン酸の生成に重要な寄与が想定されるOHラジカルの生成に対して、Fe(II)と過酸化水素の反応であるフェントン反応から生成されるOHラジカルがほとんどないことが明らかとなった。これは、Fe(II)は光化学的に生成するものの、過酸化水素と反応し難い化学種(例えば、錯イオンのようなもの)になっているためであると考えられる。本研究の結果より、SMLに有機物が多く存在することは明らかとなったが、光化学的には、それほど活性な有機物は多くなく、特に、活性酸素の生成における重要性は低いことが明らかとなった。よって、光化学的に活性なジカルボン酸の濃度自体、SML中ではそれほど高くないことが示唆された。実験結果を総合的に解析し、研究成果をまとめ、学術論文として投稿する。
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[Journal Article] Spatial and temporal variations of chemicals in the TSP aerosols simultaneously collected at three islands in Okinawa, Japan2014
Author(s)
Arakaki, T., S. Azechi, Y. Somada, M. Ijyu, F. Nakaema, Y. Hitomi, D. Handa, Y. Oshiro, Y. Miyagi, A. Tsuhako, H. Murayama, Y. Higaonna, A. Tanahara, A. Itoh, S. Fukushima, K. Higashi, Y. Henza, R. Nishikawa, H. Shinjo, H. Wang
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Journal Title
Atmospheric Environment
Volume: 97
Pages: 479-485
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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