2013 Fiscal Year Research-status Report
雪氷表面から放出される気体・粒子の測定と放出メカニズムの解明
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24651015
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
竹中 規訓 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70236488)
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Keywords | 窒素酸化物 / 亜硝酸ガス / 大気雪氷物質交換 / 光化学 / 氷化学 / 南極 / 硝酸イオン / 雪氷コア |
Research Abstract |
南極雪氷中から発生すると予想される亜硝酸測定装置の低温動作確認を、日本最寒の町と言われる陸別で2月に行った。氷点下15℃以下の環境であったが、正常に作動することを確認することができ、本装置が南極でも使用可能であることを確信した。アルコール濃度も、24年度の10%から20%にあげてHONO測定を行ったが、問題なく測定できることが分かった。また、陸別の調査中に、太陽光の影響による硝酸の分解の可能性を調べたが、簡単な実験であったが、光により硝酸が減少することがわかった。さらに、大阪府立大学内で平成25年度には大量の雪を採取することができたので、光の影響を調べたところ、同様に硝酸イオンの減少が見られた。しかし、これが直接光分解であるのか、有機物などの他の物質の存在によるものかは、不明であり、今後調査する必要がある。 一方、雪中から硝酸の揮散の実験も行った。その結果、-20℃、3日程度では揮散は起こらなかったが、-30℃、4週間では10%程度の硝酸が減少することがわかった。また、-60℃でも調べたところ、4週間で10%程度揮散することが分かった。温度の効果、時間変化、pHの効果など、さらに詳細に検討する必要がある。 また、あたり実験的に、ヨウ化物イオンと硝酸の凍結による反応を調べたところ、硝酸イオンがヨウ化物イオンを酸化し、亜硝酸となることがわかった。しかし、不明な点が多くあり、今後詳細に調べる必要がある。 以上より、南極の雪氷中からの硝酸の減少の可能性は、①直接光分解、②間接的な光分解、③揮散、④化学反応の4つ可能性があると結論づけ、今後南極に行くまでの間に、さらに詳細に調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
0℃以下の低温で作動する亜硝酸計の開発は順調に進んでおり、温度に関してはクリアーできたと考えている。揮散の実験では実際に起こることを観察し、より詳細に研究することができるようになった。光による反応についても、減少する結果が得られた。ただ、実験室試料ではこのような変化は考えられず、共存物質の影響があるのではないかとの推察ができ、研究の方向性を決めることができた。また、凍結による化学反応でも、可能性があることを偶然であるが発見することができ、今後実環境での硝酸イオンの動態にどのように関与しているかを調べるきっかけをつかむことができた。これは当初予想していなかった結果であり、当初の予定以上に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
亜硝酸計については、今年度も陸別での測定を予定している。今年度は、より過酷な条件を予定している。光分解については、実験室試料での調査と実試料の調査を並行して行う予定で、どのような共存物質が、硝酸イオンの減少に効果があるかを明らかにする。揮散実験は温度影響をまず調べ、その後温度を変化させることの効果を調べる。ヨウ素との反応実験は、詳細を検討し、どのような反応が起こっているのか、他に可能性はないのかという幅を広げていく研究を予定している。 南極夏隊参加まで2年を切ったので、今年度、現地で実際に実施できる内容に絞った研究にシフトしていくことを考えている。
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Research Products
(14 results)