2013 Fiscal Year Annual Research Report
底層水安定同位体組成の正確な復元に向けた新たな同位体指標の確立
Project/Area Number |
24651017
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
石村 豊穂 茨城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (80422012)
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Keywords | 環境指標 / 有孔虫 / 安定同位体比 / 生物源炭酸塩 / 微量分析 / 地球化学 / 海洋環境 / 古環境解析 |
Research Abstract |
前年の研究を踏まえ,底層水指標最適種の認定と汎用化を推進した.まず(1)地域・時代とも広範囲にわたって 産出し,(2)古海洋指標としての利用価値が高く,(3)同位体分析結果から海洋深層の環境変化に鋭敏だと推定される種を選定して分析をおこない,底層 環境指標種として今後の応用を検討した.検討対象とする種は古海洋研究で用いられることが多いUvigerina 属を重点研究対象にした. U. akitaensisの個体毎のδ13C , δ18Oはそれぞれ、これまで報告された他種とくらべて種内の個体毎の同位体組成に高い均質性がみられた。またU. ochoticaのδ13C , δ18Oもばらつきの小さい分析結果が得られた。このことから、種が異なってもUvigerina属自体の安定同位体組成はばらつきが小さく、1個体でも環境指標となり得ることを見出した。また、前年度までの研究(Ishimura et al., 2012)にて報告したU. akitaensisのδ13C・δ18Oと本研究での分析結果が調和的である事からも、Uvigerina属のδ18O・δ13Cは均質であることの一般性を支持している。特にδ18Oに関しては,同位体平衡値と本試料のδ18Oとがほぼ一致していることから、海洋の水環境を直接指標する分類群であることも明らかにした。一方で、δ13Cに関してはU. akitaensis はU. ochoticaに比べておよそ0.7‰重いδ13C値を持つという有意な差を見いだした。これは同属であっても種ごとの生態や石灰化メカニズムの違いが安定同位体組成に一様に影響している可能性を示唆している。本年度は,当初の計画通り,本研究で得られた萌芽研究を継続発展させるための基盤整備も並行して行った.
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Research Products
(3 results)