2012 Fiscal Year Research-status Report
湖の年縞堆積物を用いた過去数百年にわたる気候変動復元
Project/Area Number |
24651019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
原田 尚美 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (70344281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 佳菜 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (90426289)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 古環境変動 / 湖水温 / 偏西風 / 一ノ目潟 / 湖底堆積物 / 石英 |
Research Abstract |
「地球温暖化」は、地球上の生物圏全体がその影響を被る今世紀最大の環境問題である。大気中二酸化炭素濃度の増加速度を考えると、これまで地球が経験したことのない速度で上昇していることから、地球史上最大の問題とも言える。この環境問題に対し、気温上昇や海洋酸性化など地球規模の危惧がなされる一方で、環太平洋における地域規模の気候変化について、特に我が国における実態を明らかにした研究例はほとんどない。そこで本研究では、東北地方の湖沼や汽水域に堆積した年縞堆積物(樹木年輪のように毎年の堆積が縞模様に記録された堆積物)を利用し、過去100~200 年程度まで遡って、年ごとに湖水の表層水温の復元を行い、どの程度の気候変化が生じてきたのかについて明らかにし、同じ年縞堆積物に含まれている中国の砂漠起源のダスト(石英粒子)に記録された偏西風の卓越場の変動と比較し、偏西風-アジアモンスーンダイナミズムの変動に対して湖沼環境がどのように応答して変動してきたのかについて明らかにすることを目的としている。対象としているのは秋田県一ノ目潟と青森県小川原湖の湖底堆積物である。実施計画は、①一ノ目潟ならびに小川原湖の湖底堆積物に記録されたアルケノン並びに石英のESR・結晶化度分析による過去の湖水温とダスト供給源変動の復元、②両湖の表層水中懸濁粒子のアルケノン分析による季節湖水温変化のデータ蓄積とアルケノン水温換算式の構築である。平成24 年度は、①について、一ノ目潟、平成25 年度に小川原湖の湖底堆積物の分析を行う。②について、毎月2度、湖水の懸濁粒子の採取を行い、懸濁粒子中のアルケノン分析を行う計画であった。小川原湖については、堆積物ならびに湖水の懸濁粒子中からアルケノンを検出することはできなかった。一方で、一ノ目潟堆積物の分析については堆積物、懸濁粒子両者からアルケノンを検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小川原湖の湖底堆積物ならびに懸濁粒子からは水温指標性バイオマーカーであるアルケノンが検出されず、残念ながら本研究に適さない試料であることがわかった。一方で、一ノ目潟の湖底堆積物、湖水懸濁粒子両方からはアルケノンの検出に成功し、過去50年分の分析を終えている。一方で石英粒子分析についても過去50年程度の分析を実施した。ここまでは小川原湖を除いて計画通りの進捗である。さらに、一ノ目潟堆積物には東アジア大陸から輸送されてくる汚染物質の1つであるブラックカーボンというすす状炭素が含まれ、堆積物からの抽出、分析に成功した。ブラックカーボンについては、当初予定には無かった計画であるが、過去200年にわたる人為起源汚染物質輸送についても結果が出せることになりそうである。従って、必ずしも計画通りには進まなかった小川原湖での研究を補って余りある結果が出せそうなことから、凸凹が相殺されたと考え、概ね順調な進展と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度同様、25 年度、26 年度ともに一ノ目潟において定期的(月2回)に湖水を採取し、懸濁粒子のアルケノン分析を実施する。3 年にわたってデータを蓄積する理由は、海洋の例でアルケノン合成藻類が卓越する時期が年によって異なり(Harada et al., 2006, Geochim. Cosmochim. Acta 70,doi:10.1016/j.gca.2006.01.024)、水温との経験式を構築するには1年程度のデータセットでは不十分と考えられるためである。湖底堆積物のアルケノン分析についても25 年度、26 年度ともに分析を継続する。3年目には、構築した水温との経験式を用いて当時の湖水温の復元を行う。偏西風の復元については、代替指標である石英のESR・結晶化度分析を実施し、ダスト供給源変動の復元から当時の偏西風の卓越場の推定を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品や分析機器用消耗品、湖水採取を依頼している漁協関係者への謝金、現地観測用の旅費などに使用予定。
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