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2012 Fiscal Year Research-status Report

機能的光断層画像法による植物の無侵襲環境ストレスモニタ法の開発

Research Project

Project/Area Number 24651023
Research InstitutionSaitama University

Principal Investigator

門野 博史  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70204518)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 米倉 哲志  埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 研究員 (40425658)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords光コヒーレンストモグラフィ / バイオスペックル / 機能的OCT / オゾンストレス / スペクトルドメインOCT / 環境汚染評価
Research Abstract

本研究ではOCT(Optical Choherence Tomography)と呼ばれる光断層画像法およびバイオスペックルと呼ばれる生体内部の物質の輸送や微細構造の変化を反映している動的な光散乱現象に基づいて新規な機能的断層画像観測システムを構築する。これら2つの技術を組み合わせることにより、オゾンなどの環境ストレス下の植物に対して、実験により本手法の有効性を検証し、環境汚染影響評価手法としての可能性を検討する。
本年度はスペクトルドメインOCTシステムを構成して高速にOCT信号が得られるよう装置を改良した。10fps/secで断層画像の取得を実現した。このデータより、断層画像内の時間的信号変動を統計的に解析することによりバイオスペックル信号が得られ、これに基づくバイオスペックル断層画像が得られることを確認した。
装置開発と平行して、このシステムを用いて植物へのオゾン暴露実験をおこなった。光化学オキシダントの主成分であるオゾンは,その強い酸化力ゆえに世界的に農作物の成長抑制や収量低下などの悪影響を及ぼしていることが指摘されている。植物としてニラを用いて光化学オキシダント注意報と警報が発令されるオゾン濃度である120ppb, 240ppbで3時間のオゾン暴露実験をおこない暴露前後を含むバイオスペックル画像を観察した。その結果、従来のOCT画像(各組織での光の反射率に基づく画像)では明らかではなかったオゾンの影響がバイオスペックル断層画像ではより鮮明に捉えられることを見いだした。葉の表面と裏面での反応を比較した結果、裏面ではより早くオゾンの影響が現れ、バイオスペックル信号強度は暴露後3時間で約50%増加することが分かった。一方オゾンの可視被害が現れるには1週間程度かかり、表面に現れる。しかし、初期の影響は気孔のある裏面から現れることがOCTによる観測により明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究の予備段階として構築したOCTシステムは時間領域OCTと呼ばれるシステムであり、機械的可動部分を含むため高速な深さ方向のスキャンが出来なかった。予備的に構築したシステムを用いてオゾンストレス下のホウレンソウのバイオスペックル信号を観測した結果では、高濃度の500ppbのオゾンを暴露した際の影響が観察可能であっただけであった。また、1点の計測でありまた実用的な感度を有していない。
本年度は、この問題を解決するため高速動作が可能なシステムであるスペクトルドメインOCTを構築した。本システムは機械的な可動部分を持たないため原理的に高速動作に適している。その結果、10フレーム/secで断層画像を得ることを可能にした。これにより1点の計測ではなくバイオスペックル信号が断層画像の各点から得られるようになり、バイオスペックル断層画像が得られるようになった。また、オゾン暴露実験の実験条件として、実際に起こりうる濃度である120ppb, 240ppbに対して本手法によりそのオゾンストレスの評価が出来ることを確認した。
従って、当初の目的である、バイオスペックル信号に基づく機能的断層画像計測システムを構築する目標は達成している。しかし、今後の課題として観測可能深さの拡大および画像取得速度の高速化が残っている。平成25年度に予定していた植物の環境ストレスモニタリングに関する実験は既に始まっており研究は前倒しで進行している。以上のことから、研究計画は概ね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

H24年度の研究によりバイオスペックルに基づく機能的断層画像計測システムの基本部分は構築した。しかし、以下のような計測システム上の問題があり改良を試みる。
1.現在のところ観測可能深さが300ミクロン程度に制限されているため、オゾン曝露中の葉の表と裏面の両方を同時に観測することができないため実験の効率が悪いことが問題となっている。この解決策としてSLD光源の出力の増加あるいはswept source光源への切り替えを検討する。
2.断層画像における横方向の分解能が悪く比較的小さな細胞を分解することができないため、NAの大きな対物レンズを使用するようシステムの改良を試みる。
3.バイオスペックル情報により断層画像を得るには、信号の統計量(標準偏差、分散、平均値、コントラストなど)を得る必要がある。これらの統計量を正確に求めるためには現在のハードウェアでは十分なデータ長が得られないため、データを一時的に蓄えておくためのオンボードメモリを増加するあるいはデータ取得アルゴリズの改良を行い安定な統計量が得られるよう検討する。
植物に対するオゾンストレスの評価実験では、オゾン濃度や曝露時間などのパラメータをさらに変えながら実験をおこない本手法の有効性を評価するための基礎データを蓄積する。現在のところ、葉の表と裏目に対してオゾンストレスの現れ方が異なることを観測しているが、さらに組織による応答の違いを明らかにする。また、対象植物として作物植物であるイネやホウレンソウに対してオゾンストレス計測を試み本手法でのオゾンストレス評価結果と従来法である光合成速度やクロロフィル蛍光法での計測を平行しておこない本手法の有効性を評価する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1.計測システムの分解能の向上と、計測ヘッド(プローブ)の小型軽量化のため対物レンズ、ガルバノミラーおよびコントローラーなど80万円を見込む。
2.バイオスペックル信号の統計量(標準偏差、分散、平均値、コントラストなど)を正確に求めるためのハードウェアの改良をおこなう。具体的には、より多くのデータを一時的に蓄えておくためのオンボードメモリおよびインターフェースボードなどを拡張する。このために40万円を使用する。
3.H25年度は植物に対するオゾン曝露実験を多数おこなうためアルバイトへの謝金として20万円を予定する。
4.研究成果を国際学会で発表するために、20万円×2名=40万円を予定する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Optical coherence tomography biospeckle imaging for fast monitoring varying surface responses of a plant leaf under ozone stress2013

    • Author(s)
      L.K.T. Srimal
    • Organizer
      International conference on sensing biomaterial, food, and agriculture ‘13
    • Place of Presentation
      Pacifico Yokohama, Japan
    • Year and Date
      20130425-20130425
  • [Presentation] Monitoring plant leaf response under ozone stress based on OCT biospeckle signal2013

    • Author(s)
      門野博史
    • Organizer
      第60回応用物理学会春期講演会
    • Place of Presentation
      神奈川工科大学
    • Year and Date
      20130329-20130329

URL: 

Published: 2014-07-24  

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