2014 Fiscal Year Annual Research Report
安曇野における水資源有効活用としての雨水貯留水の生物学的・医学的解析
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24651024
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小穴 こず枝 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (60115334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 由行 信州大学, 医学部, 特任教授 (90283275)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 雨水貯留水 / 細菌汚染制御 / アースプラス |
Outline of Annual Research Achievements |
一般家庭雨水貯留水のレジオネラ属菌/大腸菌群/従属栄養細菌の細菌学的調査で、培養とPCR法によりレジオネラ属菌が検出されたことは、雨水貯留槽内の細菌による健康被害防止策の早急な対応が必要と考えた。 抗菌活性を示すアースプラス加工ビーズ(以下アースプラス)を用いた雨水の細菌汚染制御法の新規開発と有用性の実証的評価を行った。アースプラスによるin vitro実験でレジオネラに対する抗菌効果の速効性と持続性が確認された。次に6戸の雨水貯留槽に適用し、実際の制御効果を評価した。うち1戸には許可を得てアースプラス投入直前にレジオネラ菌液を添加したが、翌日以降の培養ではレジオネラは検出されず、高い抗菌効果が認められた。大腸菌群/従属栄養細菌に対する抗菌効果も認められたが著しい細菌数減少には至らなかった。雨水貯留水は様々な物質の混入により汚染され、雨水中の何等かの物質がアースプラスの抗菌効果に影響していると考えた。 本年度はアースプラスの抗菌効果を高める為に雨水中の汚染物質の除去方法として、ゼオライト/活性炭の併用を試みた。ゼオライトとアースプラス併用はin vitro実験と雨水貯留槽に適用、活性炭との併用はin vitro実験を実施したが、ともにレジオネラ属菌/大腸菌群/従属栄養細菌すべてに対する抗菌効果を高める結果は得られなかった。 ゼオライト/活性炭との併用ではなくアースプラス単独の方が抗菌効果は高く、特にレジオネラに対しては有効な方法であった。しかし、大腸菌群/従属栄養細菌の制御は難しく、雨水貯留槽水は単純な細菌制御だけでは解決できない点があり、微生物の他に屋根/雨樋、環境中からの様々な物質の混入による汚染、雨水の使用量や気象条件等にも影響する。アースプラスはレジオネラに対する制御に有効であるが、雨水中に生息するその他の多くの細菌に対しての更なる細菌汚染制御法の開発を進めていきたい。
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