2012 Fiscal Year Research-status Report
中国の半乾燥地域の都市と農村における水資源の配分と効率的利用に関する研究
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24651038
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
北川 秀樹 龍谷大学, その他部局等, 教授 (60360252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 順平 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90195503)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 中国 / 半乾燥地域 / 節水政策 / 水資源費 / 効率的利用 / 水票取引 |
Research Abstract |
研究代表者は8月、陝西省西安市において水資源関係の座談会を開催した。陝西省水利学会・寇宗武、西北農林科技大学・魏暁妹教授、西北大学環境科学系・黎麗華副教授、陝西省水利庁農業開発弁公室・寇広潮主任、同農業発展弁公室・杜主任、西安理工大学・解建倉教授が参加した。寇宗武より、水利権と黄河の水配分について、魏暁妹教授より渭河流域の水配分と問題について、黎麗華副教授より、雨水をめぐる水権論争について紹介があり、それをもとに意見交換した。座談会後、西安北郊外の三原県水利局を訪問、業務課長から同県の水資源開発、水利用の実態について説明を受け意見交換した。また、富平県水務局長に面会し、総工程師から同県の水資源開発、水利用の実態について説明を受け意見交換した。その後同県の農村地域に出向き、水利用の実態、用水者協会の役割等についてインタビューした。 研究代表者と分担者は、12月に総合地球環境学研究所において「中国黒河流域の節水政策の変遷とその実効性」に関するワークショップを開催した。中国科学院寒区干区環境與工程研究所の鐘方雷研究員、東京大学の秋山知宏研究員、新潟県立大学の李佳准教授が黒河流域現地調査の結果を踏まえた成果を報告した。特に、節水政策と水票取引制度について意見交換した。 研究代表者は、3月に甘粛省に赴き石羊河流域と黒河流域の水資源の現状と節水政策について調査した。まず、石羊河流域管理局から流域の概況について説明を受けた後、民勤県の大規模な節水プロジェクト、井戸の閉鎖による地下水採取の禁止と移民の現場、ハウス栽培による節水農業の実態等を視察した。黒河流域においては、張掖市水務局を訪問し、節水政策について紹介を受けた後、大きな使用量を占める農村の灌漑と水利用の実態について調査した。この結果、水票取引はコスト面から近接した農地以外はほとんど行われていない実態を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで自然環境の異なる陝西省の黄土高原と甘粛省の砂漠地帯の水資源利用と政策の実態について調査を行い、中国の半乾燥地の節水政策、主として農村部における灌漑用水利用の現状と実態について調査し一定の知見が得られた。課題として、尖閣諸島問題を契機とした日中間の関係悪化の影響もあり行政機関に対する調査はやや困難性を増していることがある。
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Strategy for Future Research Activity |
文献と現地の補足調査により甘粛省の石羊河と黒河流域の節水政策、関連組織の比較と持続可能性の面からの評価を行う。また、同地における降水量、気温の変化、河川流量の変化など数字的な把握と整理を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、現地調査の旅費、研究協力者に対する謝礼、文献収集などの費用に使用する。
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Research Products
(8 results)