2013 Fiscal Year Annual Research Report
連産性に着目した環境・エネルギー政策間評価のためのエネルギー需給構造に関する研究
Project/Area Number |
24651039
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
内海 秀樹 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (10293896)
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Keywords | 連産品 / 石油製品 / エネルギー需給構造 / プラスチックリサイクル / ナフサ / 環境政策 |
Research Abstract |
リサイクルに関する政策は,重要な環境政策の中のひとつであるが,多くの政策は最終製品に焦点をあてており,より上流の連産品には注目していない。連産品とは,ある特定の製品の生産に伴って産出される別の製品であり,その意図にかかわらず産出されることが特徴である。本研究では,連産品に焦点をあてた環境政策の計画のために,国連エネルギー統計データベースを用いて,日本他いくつかの国の石油製品の需給構造を分析する。 例えば,石油製品の中でも,燃料用途への現実的な使用が困難なナフサは,非燃料用途向けに使用されており日本ではその傾向が強い。産油国で燃料用の石油製品を製造する際,連産品としてこれは産出されるが当該国内での消費は困難である。日本はこれを輸入し,非燃料用途として資源の有効活用を行っている。ここでの非燃料用途とは石油化学製品の製造である。それに対して例えば,米国では,非燃料用途向けに燃料としても使用できる液化石油ガスを石油化学製品の原料として多く使用している。 非燃料用途向けとして想定されるプラスチック原料に関してのマテリアルリサイクルは,日本の場合,ナフサの省資源化につながり,ナフサの資源活用的側面に対しては逆の効果を持つことが推測される。それに対して米国の場合は,マテリアルリサイクルによって燃料用途に転用できる液化石油ガスの省資源化に結びつくため,マテリアルリサイクルの意味合いが異なる。日本の場合,熱回収は,燃料用途としての使用が困難なナフサを,石油化学製品を介して固形燃料化しているとも評価できる。このように連産品の場合は,下流の製品それぞれを単独で想定するのではなく,上流をも視野に入れた環境政策の立案が望まれる。
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